その他の重大な副作用としては、肝機能障害、下痢、急性腎障害、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)などが報告されている。日本でも2011年7月に切除不能な膵がんに対して承認が得られ、今後国内でも多くの患者に投与されることが予想されるが、有効性と安全性、副作用(とくに間質性肺炎)についての初期症状などについて、患者への十分な説明とともに、厳重な経過観察が必要である。

C. FOLFIRINOX療法
 FOLFIRINOX療法はオキサリプラチン、ロイコボリン、イリノテカン、5-FUからなる多剤併用療法であり、通常、中心静脈への留置ポートからこれらの薬剤を50時間かけて投与し、これを2週間毎に繰り返す(図2)。フランスでゲムシタビン単独療法との第3相試験が実施され、生存期間中央値がFOLFIRINOX療法で11.1カ月、ゲムシタビン単独療法で6.8カ月と、FOLFIRINOX療法が非常に大きな延命効果を示したことが2010年のASCOで報告された(図3)。

 しかし、有害事象の発現頻度も高率であり、好中球減少、発熱性好中球減少、血小板減少、末梢神経障害、嘔吐、倦怠感、下痢などがFOLFIRINOX療法群で有意に高頻度に観察されている。膵がん患者は胆道感染を起こしやすく、全身状態も不良な場合が少なくないため、この治療法の安全性に対する懸念が指摘されている。

 本療法は国内では未承認であるが、すでに実地臨床で患者への投与が可能である米国のNCCNガイドラインにおいては、この治療法はPS良好例に対して、エルロチニブ+ゲムシタビン併用療法、ゲムシタビン単独療法と並列して推奨されている。すなわち、FOLFIRINOX療法は大きな有効性を示し、新たな標準治療の1つとして位置付けられてはいるものの、既存の標準治療であるエルロチニブ+ゲムシタビン併用療法やゲムシタビン単独療法を完全に置換する治療法ではなく、患者によってこれらの治療法を使い分ける必要があると考えられていることが分かる。

 国内でも近い将来承認が得られるものと期待されているが、我が国においても海外での状況と同様に、標準治療の1つの選択肢として位置付けられていくものと考えられる。