ATLは臨床像が多様であり、「急性型」「リンパ腫型」「慢性型」「くすぶり型」の病型に分けることができる。「急性型」「リンパ腫型」、予後不良因子(LDH、BUNまたはアルブミンが異常値)を持つATLが高悪性度(aggressive)ATLに分類される(表1)。高悪性度ATLに対する標準治療はLSG15となっている。LSG15は8剤併用療法で、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンにラニムスチン、ビンデシン、エトポシド、カルボプラチンの4剤を使用する。

 同社がその次の段階として着手している臨床試験は初発高悪性度ATLを対象にLSG15とLSG15+KW-0761とを比較する無作為化第2相試験。LSG15+KW-0761の有効性が明らかになれば、KW-0761を初回治療から使用することにも道が開かれる。

低悪性度ATLに対する臨床試験も計画
 日本臨床腫瘍グループ(JCOG)が未治療低悪性度ATL症例に対するインターフェロンα(IFNα)と抗エイズ薬であるジドブジン(AZT)とを併用するIFNα/AZT療法の有効性を検証する臨床研究(JCOG-PC908)を計画している。現在、JCOGにおけるプロトコルレビューを行っている段階で、2012年度早々に患者に登録を開始する計画だ。

 高悪性度ATLに対しては前述のように化学療法(LSG15など)と同種骨髄移植が行われるのに対して「くすぶり型」と「慢性型」の低悪性度(indolent)ATLでは急性転化して高悪性度ATLになるまでは無治療または対処療法のみで観察(watchful waiting)することが標準治療であった。一方、欧米やブラジルでは悪性度にかかわらずIFNαとHIV(エイズウイルス)の治療薬であるAZTの併用療法が普及しているが、日本ではいずれもATLに対する保険適用がない。

写真2 長崎大学・原爆後障害医療研究施設の塚崎邦弘氏。

 最近になり、このIFNα/AZT療法がとりわけ低悪性度ATLに有望という海外の報告が増えてきた。しかし、いずれの報告も信頼性の点で疑問符が付くような内容であり、「有効」と判定されるIFNα/AZT群の生存期間も日本の高悪性度ATLの抗がん剤使用患者の標準を下回る。

 そこで長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・原爆後障害医療研究施設血液内科学研究分野准教授の塚崎邦弘氏らが、厚労省が設けた高度医療評価制度により、日本人患者で有効性を検証する臨床試験を計画している(図3)。この試験は無作為化第3相試験で、未治療の低悪性度ATL患者74名を2群に分け、1群をwatchful waitingにもう1群にIFNα/AZTを行い、主要評価項目は無イベント(急性転化)生存期間、副次評価項目は全奏効割合(ORR)。登録期間は3年、追跡期間は2年を予定している。

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