トピックス2
移植予後を改善する秘訣 “食べて動いて歯を磨く”
栄養士や看護師らが参加したNSTの打ち合わせ。
 「わずか1ccの骨髄を移植して全身の骨髄へと成長させるためには、栄養が大変重要」と声高に語るのは、国立国際医療研究センター高度先進医療室長の三輪哲義氏。根拠は同センターで2005年から始まった栄養活動チーム(NST)の実績にある。1995年から2011年までに同センターで造血幹細胞移植をされた多発性骨髄腫255例(同種骨髄移植は10例)の生存期間中央値は72カ月だった。予後因子を単変量解析したところ、予後規定因子は「61歳未満」「NST(栄養サポートチーム)の活動」「タンデム移植」だった。また、再発・再燃後のサルベージとしては、3回目以上の移植がとりわけ重要で、これらの処置により、移植後の全生存率が改善することが明らかになった。同センター第2血液内科医長の荻原將太郎氏は、移植後生存期間を改善するためには、「支持療法、新規薬剤、多数移植などの多角的アプローチが重要」と語る。
各職種が参加したバランスの良いNSTが成功の鍵(後列左から2番目が萩原氏)
 とりわけ、同氏ら国立国際医療センターが重視するのが移植後患者の食事の早期再開と運動による体力の回復と口腔ケアだ。中心静脈栄養は移植後7日で抜去し、経口食の再会を心がける。無菌室でもできる運動を指導し、無菌室を出た後も好きな時間に運動できるようにトレッドミルやエアロバイクが病棟に用意している。医師、看護師に歯科スタッフを交えたNSTが患者の病室を回る。栄養状態、食事の状態を確認するとともに口内の様子をチェックする。自家骨髄移植の患者では、1.4×REEの栄養を維持する。NSTの活動を本格化した2005年9月以降と以前を比較したところ、平均絶食期間は12.6日から2.9日へと大幅に短縮。抗生物質の使用も減少し、在院日数は8日間ほど短縮していた。医療費に換算すると患者1人当たり403,600円の節約になった。骨髄移植の栄養療法を成功させる秘訣を萩原氏は、「各職種が参加したバランスの良いNSTを組織することに尽きる」と語っている。