VISTA試験:未治療症例で VMP療法がMP療法に勝利
 今回の適応拡大の背景には、欧米で実施されたVISTA試験の存在があった。VISTAとは、Velcade as Initial Standard Therapy in Multiple Myeloma:Assessment with Melphalan and Predonisone Trialの略称(San Miguel et al. Nengl J Med 2008;359:906-17)。移植非適応、つまり移植ができない高齢者などが含まれた未治療の患者682名をランダム化し、338名に従来型のMP療法を、残りの344名にMP療法にボルテゾミブを併用した。VMP療法群では、最初の24週間にボルテゾミブを週2回投与、続く30週間ではボルテゾミブを週1回投与するプロトコルで実施された。

 その結果は、少なからず関係者を驚かせた。フォローアップ期間中央値で完全奏効(CR)達成率はMP療法の4%に対してVMP療法では30%(p<0.001)、無増悪期間(TTP)はMP療法の16.6カ月に対して24.0カ月(HR0.48、p<0.001)。言い換えると、VMP療法群で30%がCR到達、増悪までの期間が7.4カ月延長という成績だった(図2)。しかも、ボルテゾミブを使用した後、病勢が増悪した後にサリドマイドやレナリドミドを使ってもそれらの後治療に影響を及ぼさなかった。

MP群(メルファラン+プレドニゾン)に比べVMP群(ボルテゾミブ+MP)がOSを延長、死亡リスクを35%減少(Mateos et al.J Clin Oncol 2010;28:2259-2266)。移植非適応未治療患者682名をランダム化し、MP群(338名)にはMPを9サイクル実施、VMP群(344名)にはMP療法に加え、週2回のボルテゾミブを4サイクルまで、5〜9サイクルまではボルテゾミブを週1回施行した。

非血液毒性への対策が必要に 週2回投与から週1回への変更も考慮
 VISTA試験の成果を見れば、移植非適応患者の最初にボルテゾミブを使うということも容易にうなずける。しかし、一方で、ボルテゾミブのアキレス腱ともいえる副作用の末梢神経障害は、VMP療法ではGrade3が13%(Grade4は<1)でMP療法では0%と際立った違いを見せた(血液毒性では両療法群に差は認められなかった)。

 ボルテゾミブの末梢神経障害は、しばしば治療中断の原因になる。清水氏は、「運動障害まで起こした患者を経験したことがある。奏効する患者ほど神経障害は出現しやすいようだ」と言う。「神経障害には神経性疼痛緩和薬のプレガバリンが有効という報告もあるが、同剤は重篤な副作用に腎不全があり、腎機能が低下している患者が2割にのぼるといわれる多発性骨髄腫の患者に使う場合には慎重にならざるを得ない」。

 そこでVMP療法のボルテゾミブの量を減量することによって、末梢神経障害の発現を減らす試みがある。その1つがボルテゾミブ(1.3mg/m2(iv))を週2回投与する標準的VMP療法をボルテゾミブ週1回投与に減らす治療法へと変更する方法だ。

 VMPの週2回療法と週1回療法とを比較した臨床試験がイタリアのグループによって行われ、2009年の米国血液学会(ASH2009)で報告されている。末梢神経障害の出現率はVMP週2回療法の43%に比べ、VMP週1回療法では21%に半減。特にGrade3/4では週2回療法の14%が週1回療法では2%と顕著に減少している。