造血器腫瘍の専門家の間で関心を集めてきた課題に日本のJCOG-LSG(日本臨床腫瘍グループ−リンパ腫研究グループ)が結論を出し、世界的に注目されている。低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫(iB-NHL)におけるR-CHOP-21療法とR-CHOP-14療法とを比較した第3相試験(JCOG0203)の結果から、両レジメンに差がないことが明らかにされたのだ。これによりR-CHOP療法をめぐるdose density(密な投与)の追求に終止符が打たれることになった。結果を第9回日本臨床腫瘍学会学術集会で国立がん研究センター中央病院の血液腫瘍科病棟医長の渡辺隆氏が報告した。


 悪性リンパ腫の非ホジキンリンパ腫(NHL)には数多くの種類があり、病理組織型によって低悪性度、中悪性度、高悪性度の3カテゴリーに分けられている(表1)。その中の主要なカテゴリーの1つである低悪性度B細胞非ホジキンリンパ腫(iB-NHL)の治療でR-CHOP-21療法はR-CHOP-14療法に勝るかどうかという課題に挑んだのが、この第3相試験(JCOG0203)だった。

 厳密にいうとiB-NHLには標準治療といえる治療法は未だ確立されていない。しかし、抗CD20抗体薬のリツキシマブにCHOP療法(シクロホスファミド/ドキソルビシン/ビンクリスチン/プレドニゾロン)を併用するR-CHOP療法が最も有望な治療法として実施されるケースが多い。

国立がん研究センター中央病院
血液腫瘍科病棟医長の渡辺隆氏。

R-CHOP-14療法は、R-CHOP-21療法を超える?
 このR-CHOP療法の実施間隔については、21日間隔で行うR-CHOP-21療法が最も日常的な方法とされており、JCOG0203試験の中心となった国立がん研究センター中央病院血液腫瘍科病棟医長の渡辺隆氏によると「R-CHOP-21療法を将来の標準治療とみなして本試験は計画・実行された」という。

 中悪性度リンパ腫に対しては、その間隔を14日間隔に短縮したCHOP-14療法の有用性がドイツのグループによって提唱された。リツキシマブの時代においても、患者の全生存期間(OS)を延長するためにR-CHOP-14療法はR-CHOP-21療法を凌駕し得るのか?これが悪性リンパ腫の医療において世界的な関心事となってきた。JCOG0203試験は、この仮説の検証を目的に実施されたものだ。

G-CSFのADCC増強効果は頼りになるか?
 JCOG0203試験では、CHOPやリツキシマブの投与間隔短縮の意義を明らかにするとともに、CHOPの投与間隔短縮に不可欠なG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)の、抗体療法に対する併用効果の検証も行われた。顆粒球減少症の補助療法として使用されるG-CSFには抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)があり、リツキシマブの作用を増強する可能性も示唆されてきた。そこで、G-CSFを併用するR-CHOP-14療法と比較する試験デザインとなった(図1)。

 対象は未治療の3/4期の進行iB-NHLで、300例が登録され(R-CHOP-21群に149例、R-CHOP-14群に151例)、双方とも6サイクルを施行した。標準治療が確立されていないことと、日本では欧米に比べ濾胞性リンパ腫の発生率が低く患者が少ないために、第2相試験の登録患者を第3相試験の解析に含め解析する試験デザインとした。主要評価項目は第2相試験では完全奏効(CR)割合、第3相試験では無増悪生存期間(PFS)とした。副次評価項目は第2相試験では全奏効割合(ORR)と短期安全性、第3相試験ではOSと安全性とした。フォローアップ期間は5.2年(中央値)とした。