足底の症状は圧力分散で緩和する
 手足症候群の症状は足底では荷重部に出現する(写真2)。手掌では指関節屈曲部や母指丘・小指丘などいずれも外力が加わったり、屈曲伸展したりする部位に症状が強い(写真3)。靴が擦れる部分に紅斑や水疱が出現する(写真4)。とくにソラフェニブの手足症候群では、荷重部のタコ、魚の目(べんち、鶏眼)が出現(写真5)、削り取る処置が取られることもある。つまり症状を悪化させる原因は圧力などの外的刺激であることが分かる。そこでこうした外的要因を取り除くことで症状を緩和できる可能性がある。

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足底の荷重分散で症状を改善
 皮膚科では糖尿病性足病変をよく経験する。この病変と手足症候群との共通点は、いずれも靴擦れによって生じ、わずかな外力で容易に水疱を形成してしまうことだ。糖尿病性足病変に対しては、対策として足に合う靴を作成することが行われ、保険も利く。

 そこで松村氏は濱口氏と協力して、がん患者のための靴や中敷きの作成に乗り出した。ちなみに糖尿病性足病変とがん患者の手足症候群には相違点もある。糖尿病の患者では末梢の感覚が麻痺していることから、ケアの必要性を感じていないことが多い。一方の手足症候群患者では「痛くて歩けない」という強い疼痛を恒常的に感じている点だ。

 「糖尿病の患者さんに靴を奨めても費用がかかるなどを理由に処方をためらうケースが多いが、がん患者さんの場合は、“一刻も早く作ってくれ”と応諾することが多い」(松村氏)という。

 費用は中敷きが約60,000円、靴まで作ると100,000円で、医療保険が利く。

中敷きに1週間、靴なら1カ月
 足底の荷重分散のポイントは、アーチサポートにある(図)。アーチとは土踏まずのことで、写真1のように圧力がかからないアーチには病変ができない。靴や中敷きによって、ここに圧力がかかるようにする。体重を足底全体で支えるようにして、特定の部位に集中する荷重を分散することが基本的な方針だ。松村氏は、この考えは褥瘡対策と共通すると語る。「寝たきり患者の褥瘡は仙骨などの突出部に集中する。荷重が集中し血管が圧迫されて壊疽を起こしていた。そのために頻繁な体位変換が推奨されてきた。その後体重分散寝具が開発され、普及して、体位変換も頻繁に行わなくて済むようになった」