切除不能進行・再発で2nd lineも無効という厳しい条件下の大腸がんを対象とした第2相試験で、ハザード比0.56と全生存期間(OS)を大幅に改善した経口ヌクレオシド剤TAS-102が注目されている。7月に開催された第9回日本臨床腫瘍学会学術集会ではプレナリーセッションにも選出された。さらに第3相試験は国際共同試験(グローバル第3相試験)として実施されることが決定した。


静岡県立静岡がんセンター消化器内科の山崎健太郎氏。

 TAS-102はトリフルオロチミジン(FTD)とその分解酵素であるチミジンホスホリラーゼの阻害剤(TPI)の合剤(図1)。主要薬効成分のFTDのDNA鎖切断作用の作用時間をTPIの働きによって延長させることが特徴で、5-FU系薬剤に抵抗性となったがんへの奏効が期待されている。日本臨床腫瘍学会学術集会では、静岡県立静岡がんセンター消化器内科の山崎健太郎氏が、切除不能進行・再発大腸がん(mCRC)患者を対象とし、国内20カ所の施設の参加を得て行われた無作為化比較第2相試験の結果を報告した。

DNA鎖切断作用を持つ主要薬効成分FTDの働きをFTD分解酵素(チミジン・ホスホリラーゼ)の阻害剤TPIがサポートする。TPIが1に対してFTDは2のモル比で構成。

前治療にFOLFOX/FOLFIRIなど、それでもOS中央値は9.0カ月に
 対象となったmCRC患者は169例。いずれも5-FU系、オキサリプラチン、イリノテカン(CPT-11)の2種類以上が病勢進行(PD)となった患者で、112例にTAS-102(70mg/m2/日)が、57例にはプラセボ薬が投与された。投与サイクルは1日2回、2週投与(day 1-5、day8-12)、2週休薬を1サイクルとして実施された。

 前治療の内訳は、3レジメン以上を実施した割合がTAS-102群で84.8%、プラセボ群で77.2%。内容はFOLFOX(5-FU /LV/オキサリプラチン)が98.2%と100%、FOLFIRI(5-FU/LV/CPT-11)が87.5%、82.5%で差がなかった。ベバシズマブもそれぞれ77.7%、82.5%、抗EGFR抗体薬(セツキシマブ、パニツムマブ)もK-RAS遺伝子野生型患者の90.7%、95.8%に投与されており、両群とも前治療に関する統計的な偏りはなかった。

 主要評価項目のOS(中央値)はプラセボ群の6.6カ月に対してTAS-102群は9.0カ月と有意な延長が認められ、ハザード比(HR)は0.56[95%CI;0.39-0.81]を示した(図2、3)。独立モニタリング委員会の評価では、無増悪生存期間(PFS)の中央値はプラセボ1.0カ月に対してTAS-102群は2.0カ月、治療奏効期間(TTF)中央値はプラセボ群の1.0カ月に対してTAS-102群は1.9カ月と2倍ないしそれに匹敵する延長が見られた。病勢コントロール率はプラセボ群10.5%に対してTAS-102群は43.8%と有意に改善した。

主要評価項目;全生存期間(OS)、目標症例数:162例、BSC:ベスト・サポーティブ・ケア