がんの既往あるいは担がん状態で、画像所見で転移を示唆する多発性骨病巣を有する場合は診断可能だが、がんの既往がない場合や単発性骨病巣で原発性骨腫瘍も否定できない場合は生検が必要である。骨外病巣を有するまたは、骨融解性であれば通常の針生検が可能であり積極的に試みるべきである。最近は皮質骨を貫くことが可能な骨生検針も開発されており積極的に利用すべきである(図3)。多発骨転移例など進行例では全身麻酔下での切開生検の侵襲がきっかけとなって全身状態の悪化につながる場合があり針生検による非侵襲的組織検査は重要である。

骨転移はがん治療全般に影響する
 骨転移は疼痛や骨折、麻痺など重大なADL低下をきたすため通院加療が困難になりやすく、その際の入院可能な引き取り先が問題となる。あらゆるがん(上皮がん、肉腫)は転移するリスクがあり骨転移もその一つであり、決して少なくないことをがん治療に携わる医師は認識すべきである。乳がん、前立腺がんを筆頭にあらゆるがんが骨転移を生じうる。

 長期生存が可能になってきた昨今ますます骨転移が増加している。骨転移が生じた場合整形外科が中心となって診断し、手術適応があれば手術を実施するが、保存療法の場合はその処方は原発臓器科が行う必要がある。骨転移治療においてはADL障害を伴う場合、長期にわたる入院加療や終末期の医療が必要であり、その際の入院先や在宅支援を確保する役目は主治医である原発臓器科が担うべきである。

 骨転移を発見した場合、直ちに骨折や脊髄麻痺リスク評価が重要で、その際支持性評価には単純X線やCT特にsagittalやcoronalの3D-CTが有用であり脊髄麻痺リスク評価はMRIが有用である。MRIで診断がなされても単純X線やCTで支持性を評価しなければ、骨折リスク評価ができず有効な予防につながらない。

 また骨転移の多くが進行がんであり、多臓器転移を合併することが多く手術適応の判定には慎重なリスク評価が必要である。多臓器転移例や多発性骨転移例では凝固系異常や播種性血管内凝固症候群(DIC)に注意を要す。胃がんなどの多発骨梁間転移例ではしばしば骨髄がん症を呈し凝固系異常を伴う。この場合外科治療は原則禁忌である。また腎がん、甲状腺がん等の富血管性腫瘍では術中大量出血に注意が必要である。また下肢骨転移病的骨折例では深部静脈血栓症(DVT)の注意が必要である。

リスクなどによって異なる治療法を選択
 全身状態とリスク、骨折や脊髄麻痺の有無やリスクによって治療法を選択する。生命予後予測は治療法選択において重要な因子であり、片桐、徳橋、富田らが予後予測法を提唱している。我々は現在図4のようなチャートで治療法を選択している。荷重骨骨折、切迫骨折では手術可能であれば手術を選択する。急性脊髄麻痺で骨髄腫やリンパ腫、乳がんなど放射線感受性の高い腫瘍では放射線が第1選択であるが、その他の腫瘍でリスクが高くない場合基本的に手術を選択する。

(1)疼痛緩和
 まずは疼痛や肉体的精神的苦痛の緩和が必須であり、NSAID 無効の場合はオピオイドやモルヒネ製剤を初期から併用する。随伴症状緩和も重要で制吐剤、緩下剤、抗痙攣剤、抗鬱剤も積極的に併用する。

(2)放射線療法
 放射線感受性の高い骨髄腫、リンパ腫、比較的高い乳がん、前立腺がんでは化学療法と同様に有効な手段である。その他のがんでも疼痛緩和などある程度の効果が期待できる。四肢骨転移では骨折のリスクがない場合まず放射線療法を優先する。脊椎転移では骨髄腫やリンパ腫、乳がん、前立腺がん、および緩徐かつ軽度の脊髄麻痺は放射線療法が第1選択である。骨髄腫やリンパ腫では放射線効果は想像以上に早くまた顕著である(図5)。照射の際には脊髄浮腫の予防のためステロイドを併用することが望ましいとされる。手術を先行した場合にも腫瘍コントロールの目的で術後照射を行うことが推奨されている。

 放射線治療は骨転移治療において不可欠な手段であるが、基本的に外来治療に限定される施設が多い。すなわち放射線科は自科の病床を持たないことが一般的であり、放射線科入院は困難な施設が多いと思われる。従って疼痛、骨折、麻痺などでADLや全身状態(PS)が低下し放射線治療のために入院を要する患者の場合には、院内各科が自科に入院させて放射線治療を受ける形をとる。