同時により広く基金の活動を医師や患者に知ってもらう必要があると橋本氏は語る。電話による問い合わせ件数を集計してみると0件という地域がいくつかあった(表)。橋本氏は「担当医に教えてもらって連絡を下さった患者さんが何人もいました。ぜひ、先生がたからも患者さんに情報提供してほしい」と呼びかける。同基金では外来や病棟に掲示するポスターを希望する医療機関に無料で送付している。

表● 都道府県別つばさ支援基金への問い合わせ件数

 橋本氏らが国に要望していた高額療養費の自己負担限度額の引き下げは、財源等の問題で平成23年度の実施は見送られた。その代わり、国は外来医療費の現物給付化を平成24年度から全保険者で実施する方針を固めた。橋本氏は「新薬が次々に開発される中、薬剤費を含めがん治療費の高額化は避けては通れない」と指摘する。治療が奏効し、生存期間が延びるほど、薬剤費負担が患者や家族にとって大きな問題になりつつある。

 高額療養費の自己負担限度額の引き下げは、早急に実現しなければならない課題に違いないが、それだけでは根本的な解決にはつながらないとも橋本氏は示唆する。「国民皆保険制度の枠組みを壊さずに、しかも治療費の高さに逡巡することなく、より良いがん医療を実施できるようにするには、患者と医療者が手を携えて新しい仕組みを考えていくことが必要」と訴える。患者支援団体による助成といっても限界があることは明らか。それでもとにかく何らかの手を打つ必要があるほど状況は切羽詰っているということのようだ。

(医療ライター・渡辺千鶴)

◎「つばさ支援基金」の問い合わせ先
 電話:0120-711-656  E-mail:kikin@tsubasa-npo.org
◎「がん電話情報センター」
 電話:0570-055224
 血液がんにかぎらず、全がんを対象に患者や家族からの医療的・経済的・社会的な問題に対する相談に無料で応じている