その結果、牛車腎気丸投与により神経毒性が抑制されTTFが延長、その結果、TTF中央値はA群:177日、B群:112日、C群:183日、D群:127日と牛車腎気丸非併用(-)群(B、D群)に比べ、牛車腎気丸併用(+)群(A、C群)で長かった(50〜60日延長)(図2)。Grade1、2の神経毒性発生率は、牛車腎気丸(-)群に比べ牛車腎気丸(+)で明らかに低かった(図3)。

 牛車腎気丸(+)群では化学療法を中止しなければならないGrade 3の神経毒性は発生しなかった。牛車腎気丸の作用機序については、一酸化窒素(NO)誘導による血流改善や、ダイノルフィン、オピオイド受容体を介した鎮痛作用が推測されている。最近、小規模ではあるが前向き試験で同様な結果が報告され、プラセボ使用前向き二重盲検第2相試験(GONE試験)[参考文献(8)]、300例以上の大規模二重盲検第3相試験(GENIUS試験)が行われている。これらの結果が明らかになれば世界中で牛車腎気丸を併用した大腸がん化学療法が行われることが期待される。

牛車腎気丸の使用のコツ

 漢方薬の服用は通常、食前、食間と書いてあるが、食後でもOKである。また、効果不十分と判断した場合、投与量を増やすのではなくて附子末(ブシマツ)を1gないし2g追加することで軽快することがある。副作用は重篤なものは報告されていないので、長期連用も問題がない。

口内炎に半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ、TJ14)
 半夏瀉心湯は、大腸がん化学療法の標準的治療薬剤である塩酸イリノテカン(CPT-11)による難治性晩期下痢発症に対して抑制効果があることが広く知られている。その半夏瀉心湯の効能効果には口内炎にも有効であると記載されている。

 がん化学療法による口内炎の発生原因としては、抗がん剤によって発生する活性酸素による口腔粘膜細胞のDNA障害、各種サイトカインなどによるアポトーシス誘導、各種炎症性プロスタグランディンの増強などが挙げられている。抗がん剤治療時の口内炎はQOLを著しく低下させるにもかかわらず、有効な治療手段はほとんどなく、予防的な手法として口腔内清潔や抗がん剤の口腔内に到達する薬剤濃度を低下させる目的で氷などを利用したクライオテラピーなどが試みられている。