見つかった時点で手術も化学療法もできない――。こんな膵臓がんを取り巻く状況を改善しようと、JA広島厚生連尾道総合病院と尾道市医師会が包括的な連携システムを構築、早期患者の発見に成果を上げている。濃密な病診連携で全国的にも有名な尾道市ならではの試みだが、日本膵臓学会ではこの尾道方式の全国普及を計画している。


 広島県の尾道市近郊の開業医のA氏が、女性患者(65歳)の腹部超音波検査(US)を行った。患者には自覚症状はなかったが、膵頭部に主膵管拡張らしき像が認められた。そこで、尾道市内のJA広島厚生連尾道総合病院(以下JA尾道総合病院)に患者を紹介した。紹介を受けた同病院では、超音波内視鏡(EUS)と内視鏡的膵管ドレナージ(ENPD)による膵液細胞診による検査を実施、膵臓がんであることを確定した(図1、2)。腫瘍径は1cm以下、きわめて早期(Stage 0)の膵上皮内がんだった。同病院で切除術を受けた患者は退院し、A氏の診療所とJA尾道総合病院で定期的な検査を受けているが、転移や再発の兆候はなく、特段の治療を必要とせず、日常生活を送っている。

 多くのがんが予後を大幅に改善していく中で、その治療成績が「10年前と変わらない」といわれるのが膵臓がんだ。5年生存率は10%以下という低さだ。

 その最大の原因が早期発見の難しさにある。Stage1であれば5年生存率は52.5%だが、現実には診断例の70%が、進行したStage4a、4bというステージで発見される。小さく薄い臓器である膵臓では、がんが外部に露出しやすく、隣接臓器にも浸潤しやすい。半面、初期は自覚症状も乏しく、発見は遅れがちだ。