Stage Iでも悪液質か?
 三木氏は以上のようなカットオフ値から300人の大腸がん患者を分類した。その結果、図4に見るように、stageが進むにつれてA群が減少、より炎症が強いC、D群の割合が増加する傾向が見られた。また、各群の生存期間は、A、B群が同等だったが、C群、さらにD群と炎症傾向の増大とともに10年生存率も低下していくことがわかった。「この分類は予後判定マーカーとして確立したものではないが、TNM分類とは独立したマーカーになる可能性がある」と三木氏は見ている。

 もしこの「三木分類」が正しいとすると、もう1つ興味深い現象がある。それは、大腸がんのstage Iであっても、10%程度のCRP値上昇群が含まれていることだ。stage Iでも三木氏が悪液質と定義するD群に属する患者がいることになる。Stage I、IIでは、術後補助化学療法は実施されないケースが多い。CRP値が高いということは画像診断では検出できない残存がんの可能性もある。

甲状腺ホルモン(PTH)の過剰分泌も問題

 向山氏は、炎症性サイトカイン、GHの軸のほかに、PTHを介在させた系の重要性が高まる可能性もあるとしている。ヌードマウスにがん細胞を移植すると、進行して悪液質が認められる。そこにPTHrPモノクローナル抗体を問うとすることでがん悪液質モデルが治療できる。

EPA含有食品で制御可能か?
 悪液質が進行したがんに限定されたものと一般的には考えられてきたが、炎症というキーワードで考えると、がん全般に関わる可能性も出てきた。言い換えるとがんとは炎症をベースに進行する病気の1つであるという点だ。がんが炎症を引き起こし、それが薬剤の代謝をかく乱し、疼痛などがんに付随して表れる多彩な症状の原因となっているのだ。言い換えるとがんと炎症は不可分の関係にある。