留学先 : 
Harvard School of Public Health
留学先の場所 : 
Boston, MA, USA
専門 : 
公衆衛生学
留学先で取得できる学位・資格 : 
Master of Public Health
留学先のウェブサイト : 
http://www.hsph.harvard.edu/
留学先の特徴・売り : 
ヘルスケア、コミュニケーション、マスメディア、医療政策、開発途上国支援、行政、開発、リーダーシップ、疫学、統計など、健康にかかわるすべての分野を学べる。
願書締め切り日 : 
12月1日
願書以外に必要なもの(例:エッセイ・GRE・TOEFL・推薦状など) : 
SOPHASというSchool of Public Health全体で作るオンライン受験申請手続きにてエッセイ・GRE・TOEFL・推薦状、CV、仕事やボランティア経験などを入力する必要がある。
受験予備校や主なテキスト名 : 
TOEFL・GRE対策の問題集のみ。
準備期間 : 
4ヶ月
留学先へ入るためのアドバイス(自身の経験から)  : 
産婦人科診療をこなし、当直をし、子育てをしながらの受験勉強は絶望的に難しく思えましたが、通勤時間と夜の時間を捻出して勉強時間を作りました。どんなに困難でもこの学校で学びたい、という意欲をエッセイで披露すると、実感がこもっているだけにある程度評価されるのではないかと思います。また、前年度に下見と見学を兼ねて大学を訪れ、ある程度のイメージを膨らませ、それを支えに頑張りました。
印象に残っているコース名 : 
秋学期で取ったWomen, Gender & Health, Social Health, Clinical Epidemiology, Principles of Epidemiology, Introduction of Biostatisticsなど。
学費(学位取得までにかかったもの) : 
一年間の授業料;350万円前後、保険料;14万円/年、その他事務手続きの代金で20万円ほど、指定教科書代;約30万円
留学中の生活費 : 
家賃(駐車場・水道・暖房・ガス代込み);月20万円、保育園代(子供3人合わせて);月50万円、電気代;月5000円、電話・インターネット代;月1万5000円、食費;月7〜8万円

生活費
食費、ガソリン代などの生活費は想定範囲内でしたが、学生用医療保険が家族一緒に加入すると5倍ほどに増加します。このため、Mass HealthというMedicareの一種に加入し、医療保険を受けることにしたものの、日本でいえば生活保護?を受ける身となったのはアメリカの納税者に申し訳なく、複雑な気持ちでした。Food Stampというのは貧困層が受けられる食料用の配給券ですが、WIC(Women, Infant & Children)という妊産婦および子供用の配給制度があり、我が家は無収入のためWICの受給資格ができました。粉ミルクや牛乳、卵が手に入るので非常に助かっています。受給者側の立場から見た社会福祉制度については長くなるのでまた改めて報告したいと思います。
この貧困生活の中、母親としてはどうしても家族の食事、健康のことばかり考えがちで、学業がおろそかになることがありますが、そんなとき、子供と家庭を言い訳にしてはいけないといつも自分を戒めています。ボストンではネズミや虱が出ることと考え合わせるとまるで戦後の日本のようですが、貧しくても心豊かに、というのがこちらに留学して以来のモットーです。日々、子供たちがお行儀よく美味しく食事を食べる姿は何ともほほえましいものであり、物質的なものよりは生の体験、質の良いものに触れる体験をたくさんさせてあげたいと思うこの頃です。
そして、辛い時こそ大きな支えとなっているのが同じクラスメイト達との助け合い、周りの日本人研究者たちとの支えあいや情報交換であり、周りの友人たちにはなんと感謝したらよいかわかりません。ここで受けたご恩は一生もので、一生感謝の気持ちを持ち続けていきたいと思っています。こういう経済的な余裕のない時に人間の地の姿が見えてきますが、いろいろな人との人間的な付き合いの中で、人間関係を大切にし、喜ばせるための時間を惜しまないようにしようと心に誓いました。同じ日本人相手に儲けようと考える日本人もいますが、私は目先の損得ではなく、10年後、20年後のご縁を考えて行動しようと思います。医者の世界、そしてハーバードの世界、MPHの世界は本当に狭いです。必ずどこかで人間関係がつながってくると思うと、一人一人との接し方や思い出が本当に大切です。こう考えるようになったのも、もちろん数々の痛い思いをしたからで、留学している人のモラルの問題、アメリカでの住居問題、訴訟問題、産婦人科医療、コミュニケーション、女性医療、マスメディアなどなど、アメリカで実際に体験して学んだテーマは尽きませんが、改めて機会を設けてご報告させていただければと思います。

保育園
ハーバードに入学するのも半端な関門ではありませんでしたが、入ってからからがまた大変でした。毎日六時起床、朝食、ランチを準備した後朝八時までに子供たちを保育園に届けます。そして八時半から五時半までみっちり授業。すぐさま保育園に子供を迎えに。帰宅後食事の準備をして食事、読み聞かせ、歯磨きの時間が貴重な子供との触れ合いタイムです。八時頃に子供を寝かしつけると自分も一緒に寝てしまい、ハッと起きて一二時頃から三時四時まで勉強、日によってはその間に三女の授乳、次女の夜泣きの相手をしながら眠りに落ちてしまう、という生活です。
ちなみに毎月の保育料は〇才が2000ドル、二才四才はおのおの1500ドル以上、締めて三人合わせて約5000ドルかかり、これは日本で預けていた保育料の5-6倍に相当します。合格が決まってすぐにハーバード関連の保育施設に問い合わせをし、Waiting listに乗せ始めましたがその後まったく進展はなく、大学から遠くて高い私立の保育園でやっと上の二人の枠を抑えることができたのは三人目の出産直前、渡米2か月前でした。どの保育園でも三女を入れる乳児の枠が少ないため、9月に新学期が始まってから2か月は三女の面倒を見ながらの学生生活でした。それを見かねて、上の二人を預けている保育園のDirectorが三女の入園を許可してくれた時は本当にホッとしましたが、保育料の負担が50万円/月とますます重くなり、貯金がたちまち減っていくのを見てがっくりしたものです。日本では経験しなかった厳しい学生生活と貧困生活を体験し、自分を鍛え自分の可能性を広げるいい経験だ、若いうちはチヤホヤ甘やかされるよりは苦労して反骨心を持ったほうがいいんだ、とポジティブに考えるよう努めていましたが、医療保険の問題、アパートの工事と訴訟問題などでかなり消耗した時期もありました。この経験を乗り越えればもっと自分が大きくなって社会に貢献できるだろうというモチベーションと、夫や子供たちに支えられて何とかやってこられたと思います。
年数(学位取得まで) : 
1〜2年
奨学金など経済的援助元(もしあれば) : 
2008年度のみ聖路加ライフサイエンス研究所 EBM助成
奨学金獲得方法 : 
聖路加ライフサイエンス研究所の助成申請書に自分の抱負と熱意をありったけ書いた。
留学先での居住環境(寮・賃貸・家賃など) : 
コンドミニアム(日本でいう分譲マンション)の賃貸契約
回答者
吉田 穂波 氏
(2008-2010年在学)

※本コーナーは、回答者の留学当時の情報を基にしています。最新の情報は、WEBサイト等で個別にご確認ください。臨床+αでは、当サイト内の情報に起因するトラブルに関しては責任は負いかねます。