エクランド 源 稚子 氏 Eklund Minamoto Wakako MSN APRN NNP-BC
年齢 : 43歳(2009年10月現在)
現在の職業 : Neonatal Nurse Practitioner 新生児専門NP
現在の勤務先 : Pediatrix Medical Group of Tennessee,
Vanderbilt University School of Nursing 非常勤講師
出身大学・学部・卒業年度 : 2002, Vanderbilt University 看護学部大学院新生児NP専門課程修了
臨床専門分野 : 新生児看護
+αの道に入る前の臨床経験年数 : 10年
+αの道に入った際の年齢 : 35歳で、大学院へ新生児NPの学びのために入学、2002年卒業。
+αの道の種類 : ナースプラクティショナー
何故+αを選んだのか

 私は、1987年に高校卒業後直接留学し、Bob Jones Universituy (South Carolina) において、91年に看護学士取得、同年RN試験合格して看護の免許を得ました。長年の看護経験の後、患者のケアをしながら、時に看護の範囲外の事に関して、時々医師の判断に近いことを頭の中でしようとしている自分に気がつきました。しかし、看護の知識のみでは、基本的な土台となる医療知識が今ひとつ足りない事を痛切に感じさせられました。薬学、病態生理、生理学などを深く専門的に学んで、治療に関わる判断をする臨床力を身につけることが可能であるナースプラクティショナー(NP)の世界に入る事で、看護の経験を生かしながら 広い目で医療に貢献できるのではないかと考えたのです。

 NPには多くの分野があり、それぞれ専門試験があります。診察/治療行為を行なうクリニシャンであり、看護の理念に根ざすためにナースプラクティショナ−と呼ばれます。分野によっては初期診療のみに限らず重症な疾患を管理する幅の広い世界です。

 既に新生児ICU勤務がで長かった事もあり、新生児NPの道を選び、大学院に進みました。

どのようにして+αの道に入ったのか

 ナッシュビルにあるバンダービルト大学病院のNICUに勤務しながら、同大学の評判の高い新生児NPのプログラムを知るきっかけを得ました。現場で働くNP達のレベルの高い医療貢献を目の当たりにして、無理かもしれないけれど、まずは頑張ってみようと願書をしたため始めたのが2000年秋でした。GREを受けるために鬼の様に勉強をしました。正直、試験はアメリカに長く住んでいても難しいと感じました。幸い必要な点数をクリアする事ができ、他の書類も整い、無事入学できたときは、とても嬉しかったのですが、その後はGREの難しさどころではない勉強が待っていました。40単位を3学期、12か月に詰め込んだAccelerated Programであったため、長年住んではいても英語が第一言語ではない私に取っては、今迄自分が経験した事で一番脳が痛むほど辛い、けれど、成長を感じる体験でした。

 卒業寸前に乳がんに見舞われました。治療のため1年間のブランクを乗り越えて、治療中に資格試験も受けました。治療も終わり、初めての新生児NPとしての仕事に就いた日、乳がん患者として体験した苦しみ、痛み、不安、やり場のない焦りなどを決して忘れまいと、NICUの患者とその家族達を目の前に胸に誓い、現在に至っています。

+αの道はどうであったか、何を学んだか

 医師になりたいと思った時期もありましたが、迷った後に看護の世界の可能性に期待して看護にとどまってよかったと思う事が多くあります。医学部のアドバイザーと看護学部のアドバイザーの両者とのミーティングを何度も持ったあの頃の事を懐かしく思います。

 チーム医療という言葉は特に意識していませんでしたが、医師やNP、さらに他の専門職がみなグループで患者を診てゆく体制を経験して来て、患者のためにならなければ成長はしてこなかったであろうこのアメリカの医療アプローチは自分の肌に合っていたと言えます。

 新生児NPは、未熟児が産まれたときの蘇生から、毎日の診療・治療など全てに渡って関わりを持つ事ができ、その仕事には醍醐味を感じます。

 自分の範囲以上のことは医師と相談しながら、学びながら進めていくため、経験を積めば積むほど、NPの実力幅が広がっていきます。医学部の知識を持っていないことは痛切に感じますが、NICU患者のほとんどにおいて、NPの知識が大きく貢献でき、その世界で仕事をしている自分は大変に恵まれていると思います。医師らとのグループ内の信頼関係は患者の目にも明らかな様です。看護の良いところを取り入れた医療を提供しているNPという職業は、ユニークで医療のギャップを埋める重要な存在であると思うこともあります。日本ではまだ正式に認めらておらず、制度としては存在しないものですが、考察中の関係者の方々に、是非前向きにお考えくださいと頭を下げたい思いです。

今後どのようにキャリアを形成していくか

 現在、国際新生児看護協会の活動に加わっています 。グローバルな見地で新生児の医療標準を高める努力をしてゆきたいと思います。そういう目を持ち、行動していく看護師が日本でどんどん成長してゆくために何か貢献できたらと願わずにはいられません。 さらに現在チーム医療に注目が集まり、日本でもNPの導入へと努力がされている中、何かのパワーを共有することが出来ればと願いつつ、試筆、講演活動を通して応援をしてゆきたいと思っています。

著書など
メディカ出版 ネオネイタルケア 2004−2006 エクランドわかこのアメリカ便り 連載 全33回
Nursing business ナーシングビジネス 3 (3). 248-251 (2009)
医療を変革する時代によせて、ナースプラクティショナーへの期待と果たすべき役割。看護職の役割拡大へのレディネス。
W. Eklund and C. Kenner (2009). International Connections. Neonatal Issues in Japan. Newborn and Infant Nursing Reviews 9 (3),132-135.
ご自身が紹介されたマスコミ媒体など
フジテレビ特ダネ 2月14日2009年。周産期特集
日経新聞9月6日 新生児NPについて