伊藤 彰洋 氏 Akihiro Ito, M.D.
年齢 : 31歳(2009年1月現在)
現在の職業 : 医師、会社経営者
現在の勤務先 : ファミリーメディスン株式会社
亀田ファミリークリニック館山ティーチングスタッフ(非常勤)
甲府共立病院ティーチングスタッフ(非常勤)
南イリノイ大学臨床助教授
イリノイ大学臨床講師

出身大学・学部・卒業年度 : 山梨大学医学部 2002年度卒
臨床専門分野 : 家庭医療、老年医学、医学教育
+αの道に入る前の臨床経験年数 : 4年
+αの道に入った後の臨床経験年数 : 2年
+αの道に入った際の年齢 : 29歳
+αの道の種類 : 医学教育ビジネス、不動産ビジネス
何故+αを選んだのか

 学生時代から目前の医学教育に何か物足りなさを感じていました。そんな時、縁があって米国でのホームステイの機会を得ました。たまたま、ホストファミリーの知り合いにドクターがいて、近所の病院を見学させてもらいました。米国の片田舎にある地方の病院でしたが、私の在学する医学部付属病院よりもとても整備されているように感じられ、ショックを覚えました。この出来事がきっかけで漠然と臨床留学を志すようになりました。

 留学を準備するに当たり、よく耳にした言葉が米国の医学教育は世界最高レベルにあるという噂でした。当時、医学生として医学教育のあり方に疑問を感じていたこともあり、米国へ留学し、医学教育を受けてみたいという希望が膨らみした。

 米国で実際に研修医として医学教育を受ける中(南イリノイ大学家庭医療学講座・イリノイ大学老年医学講座)で日本との医学教育の違い、その中で良い点、悪い点を学ぶことができました。

 日本に帰国し、日本の医学教育のために何かできることはないかと模索している中、既存の医局制度や大学制度に限界を感じ、自分の思いを実現するために起業することに決めました。

 一方で両親が以前から不動産会社を経営していたので、経営や管理を学ぶために不動産を少し勉強し始めました。その一環として今年宅建の資格を取得しました。分野は違うのですが、民法など初めて勉強する内容は日常生活で役立つ内容ばかりで、今まで知らないで生活していた自分が恥ずかしかったです。しかし、これが日本の医学教育の欠点でもあると感じました。高校生から医学部へ入学するために多くの医師たちは社会のことを知らないで育ち、医師になり、医療界の中だけで十分な生活が保障され、その他の分野に目を向ける必要がないのです。

どのようにして+αの道に入ったのか

 私が起業したときは新会社法が施行して間もなかったころでした。ご存知の方も多いとは思いますが、今は会社が資本金1円から設立できます。ですから、資本金などの心配はいりませんでした。最初は少額の資金からはじめ、必要に応じて増資していきました。また、会社設立と聞くとすごいことだと、思われる人が結構いますが、会社は紙上のことですので、設立は意外と簡単です。私の場合、設立や増資に関する提出書類、登記事項などはすべて自分で作りました。公証人役場の方は驚かれたようですが、今はインターネットの時代ですから、本を買わなくても比較的簡単に情報が集まり、お金をかけずにできました。こういった経験も良い社会勉強のひとつではないでしょうか。

+αの道はどうであったか、何を学んだか

 起業してみて、実感することは思っていた以上に医学教育をビジネスとして成り立たせるための土壌が整備されていないということでした。米国では多くの医師は医学教育分野でも会社を立ち上げて、ビジネスとしてやっている人もいます。日本ではそういった人はまだ僅かではないでしょうか。

 そこに開拓していくためには同じような志を持った方たちとの協力が必要不可欠になってきますし、様々なビジネスモデルやビジネスチャンスが眠っていると考えられます。米国の医学教育にはまだまだ学ぶものがたくさんありますから。

 一方で不動産ビジネスからも学ぶものが多くあります。最近はCRE(Corporate Real Estate、企業不動産) に代表されるように事業を進めていく上で、企業の不動産価値を最大限に利用できるように勤めています。特に日本全体として医学教育分野における投資には消極的ですから、自社のように不動産ビジネスから安定した利益を確保しつつ、医学教育に投資できる体制は有難いと思います。

現職に+αはどう生きているか、または現職が+αそのものの場合は、臨床経験が現在どう生きているか

 米国での医学教育の経験が現在、指導医として臨床教育をする上で欠かせないものとなっていますし、新しい医学教育のビジネスモデルを考える上でとても大切になります。

 医学生や研修医が何を求めているのか、それは直接現場で本人たちと語り合ってみないとわかりません。その中から必要なニーズを探して、ビジネスモデルとして発展させて成功させることが1つの目的です。そういった意味で、現役の教育者としてあり続けることは今後も必要だと思います。

 会社経営と研修医教育プログラムには共通点がたくさんあります。どちらも明確なビジョンをもち、チームとして効率的かつ、効果的に仕事をしていくことを目的としているからです。それは分野が違っても基本は同じです。臨床教育の分野でもビジネスで用いられるマネージメント方法がたくさん取り入れられるようになってきています。米国では以前から医療経営を専門に勉強するコースが多数あります。日本でもこの流れを受けて、今注目され始めています。会社経営も社員をうまく教育していくことが大切です。会社経営と臨床教育の両方から学ぶことがありすぎて困っているくらいです。相乗効果が期待できます。

今後どのようにキャリアを形成していくか

 今、ある会社と協力して医学教育におけるE-learningリソースを開発、販売していきたいと思っています。医学の進歩が日進月歩のように医学教育ツールも進歩が早いです。日本の医学教育がそれに取り残されないように、多くの先生方や医学生へ提案をしていきたいと思います。

自身のPR/ブログ・ホームページなど
www.familymedicine.jp
著書
シャドーイングで身に着ける実践医療英会話
クリニック英会話講座ケアネットDVD