山田 恵子氏 Keiko Yamada,MD,MMA(医療政策学修士)
現在の職業 : 整形外科医師/Webサイト「All About 女性の健康」ガイド/(株)サラトガ・パートナーズ取締役
出身大学・学部・卒業年度 : 東京大学医学部医学科
臨床専門分野 : 整形外科
+αの道に入る前の臨床経験年数 : All About1年/サラトガ・パートナーズ8年
+αの道の種類 : ヘルスリテラシー/医療情報インフラ整備


何故+αを選んだのか

 病院で診療していて、患者・医師間の医療情報格差と医療の閉鎖性に驚いて、何らかの形で一般の方の医療知識のボトムアップ(ヘルスリテラシー)を図ることが必要と感じたため、さらには研修医として働く際に体を壊したことも高じて、医師であること、さらに女性であることを特徴として、All AboutというWeb媒体を通しての仕事を始めました(女性の健康ガイド)。
 しかし、さらに臨床で診療を行っていると、非常にまじめに働いている医師が(特に勤務医)、過労死寸前まで働いているにもかかわらず、その実態が一般にほどんど知れ渡っておらず、それが医療・患者間の軋轢を生む原因の一つになっていること、しかしながらこういった医療現場の異常な事態は、マスコミによく言われているように勤務医が良くて開業医が悪いといった簡単な図式で成り立つ問題ではなく、医療制度そのものに問題があると考えたことなどにより、東京医科歯科大学のMMAコースに通い、全般的な日本の医療の俯瞰図を学びました。
 現在、日本の医療に必要なものは適切な医療政策(医療費の確保、医師を含めた医療資源の選択と集中、医師の育成、かかりつけ医を作る教育など)はもちろんですが、それを形成するためには、同時に、一般の方と医療の間の知識格差を減らし(ヘルスリテラシー)、現時点での医療の実態を正しく一般の方に知らせ理解していただく(医療情報インフラの整備)ことが必要不可欠と考えており、正確な情報の発信は一定以上の臨床経験のある医師だからこそできると考えています。
 活動の一環として、本の出版(「9割がよくある病気(講談社)」common diseaseのセルフヘルプ的な本です)や、会社を作り「Dr.玄白」という病院情報サイトの運営などを行っています(病院の情報をとにかく一般の方が知りやすく、分かりやすいようにしようという試みから)。

どのようにして+αの道に入ったのか

 All Aboutに関しては、会社の方とお話の後、いくつかの審査をパスして始めました。
 「Dr.玄白」の運営会社である(株)サラトガ・パートナーズの前身はもともとは投資を目的とした会社でしたが、MMAの関係の中で取締役の方々とお話する機会があり、半年から1年かけて趣旨を十分理解していただいた上で、健康医療サービスの一環として「Dr.玄白」を始めることで同意し、会社の定款変更をしてサイトをオープンしました(2007年8月)

+αの道はどうであったか、何を学んだか

 All Aboutでは、専門外(専門は整形外科)のことを知ることによって、違った視点から多面的に患者さんを見ることができることになりました。
 また、広義の意味でのメディアですので、自分自身もメディアの視点を得ることができているように思います。その道のトップランナーである別業種の方と交流できるのも大きな魅力です。
 「Dr.玄白」のサイトの運営では、「そもそも患者さんに真に必要な医療情報とは何か」という原点から、システムの運営、さらにビジネスモデルの構築といったことを日々勉強しながらなんとかこなしているといったところです。

今後どのようにキャリアを形成していくか

 活動の基本となる点が2点あります。
(1)比較的悪くない日本の医療制度をどう持続させるか
 医療を国際比較する際には「アクセス」「コスト」「医療の質」という観点で考えることが多く、「フリーアクセス、先進8カ国で対GDPにおける医療費が最低、WHO調査で医療の質が1位」という日本の医療は、そんなに悪くない、というより最低限の医療を皆が享受できるという観点においてかなり良いと個人的には思っています。ただ、国民の方にそれが知れ渡っているかは疑問が残るところです。
 難しい医療情報、医療制度の現実をわかりやすく患者さんに伝えることによって、医療―患者間の軋轢を減らし、できるだけ皆が納得できる医療の状態に進むような手助けをしたいと思っています。
(2)医療従事者が安心して働ける環境作り
 どんな企業でも、仕事への満足、身体の健康を含めた最低限の生活の保障がない限り、社員を長くとどめていることは難しいと思われます。
 日本の医療は悪くないというのが私の意見ですが、医師、看護婦を含む、医療従事者の献身的な労働がその医療制度を支えてきた要因の一つと思われます。しかし現在、医師不足、医療費抑制の現実の中、その医療制度が崩壊しかかっていることもまた事実です。
 働いていて自分が体を壊したことや、私の周りの医療関係者が身を粉にして働いていたこと、さらに周囲にはかなり優秀な人が多かったにも関わらず、現状ではその才能が活かしきれていないのではないかという思いもあり、そういった人材資源をできるだけ埋もれさせないで、しかるべき環境で働いていただく手助けができたらと思っています。

自身のPR/ブログ・ホームページなど
All About 女性の健康:http://allabout.co.jp/health/womenshealth/
病院検索サイト Dr.玄白:http://www.drgenpaku.com/
著書など
「9割がよくある病気」講談社α新書