西日本豪雨によりお亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げます。現地では復旧作業が本格化していますが、公衆衛生の観点から自然災害が起こった際に現場で活用できるヒントをまとめたサイトを立ち上げ、『保健・医療従事者が被災者と自分を守るためのポイント集』(中外医学社)の著書もある、国際医療福祉大学の和田耕治氏に、被災地における復旧作業で気をつけるべきポイントについて緊急寄稿していただきました。(編集部)


 西日本豪雨の被害にあわれた地域にお住まいの方、そして復旧作業のボランティアなどで現場に入られる方の健康と安全を守るための留意点を紹介します。以下では7月16日頃までの急性期を想定し、5分程度で読めるように要点だけに絞って解説しています。

1.これから現場に入られる方へ
・豪雨被害のあった地域においては、道路の通行止めなどの対応が行われています。情報が不確実なことも多いため車の安全運転に留意してください。ガソリンが現場で得られない地域もあるようですので、事前に確保しておくようにします。
・水害のあった地域においては水や食料などが不足しています。十分な物資を持って現場に入るようにしてください。水は1日1人2リットルが必要です。
・ほこりが多くなっている地域もあるため、マスクを持参し、現場では装着してください。
・熱中症のリスクに備えて、帽子や、日焼け止めを用意してください。
・がれきのある場所では釘などを踏む可能性があるため、丈夫な靴で訪問してください。できれば安全靴や、釘を通さない中敷きを持参しましょう。手袋などの防護具も忘れないようにします。
・ゴキブリやハエなども増える可能性があるため、殺虫剤なども持って行く必要があるかもしれません。

2.現場での対応
・被災した建物に入る際には、安全でないことを前提にします。
・カビなどが発生していることもあるため、ほこり対策も兼ねてマスクを装着することが望ましいです。
・ブルドーザーなどの重機が動いている場合には、ホコリなどを吸い込まないように風下を避け、距離をできるだけ取ってください。
・感染症のリスクがあります。予防のため、こまめな手洗いを励行してください。下痢や発熱などの症状がある場合には休みをとってください。
・蚊が一時的に増加することがあります。日本では蚊によって媒介される病気は限られてはいますが、虫除けスプレーなど市販のものをこまめに使用してください。
・熱中症のリスクが高くなるため、水分をしっかり補給氏、帽子や日焼け止めなどを積極的に用います。風通しをよくし、直射日光を避けるようにします。冷たいシャワーも効果的です。
・水没した場所に入る場合には、手足に傷がないことを確認します。傷がある場合にはできるだけ水没した場所に入らないようにします。傷が感染する可能性が高いです。
・長時間の労働にならないように留意してください。疲労をためないように睡眠時間や休憩時間を確保します。
・単独作業を避けます。やむを得ず単独作業になる場合には常に連絡が取れるようにします。
・発電機を用いる際には、一酸化炭素が発生する可能性があります。一酸化炭素は、においも色もなく、吸い込むと死亡することがあります。発電機は人がいる場所から遠い場所にあること、風上にないことを確認します。

3.避難所での対応
・妊婦、乳幼児、高齢者など、支援が必要な方を特定して支援をします。
・透析をしていたり、糖尿病などの慢性疾患がある人は、医療へのアクセスを確保します。
・食事のアレルギーにもできるだけ早く対応してください。
・断水している地域では、トイレの確保が難しいところもあるようです。トイレの数の確保を目指します。また、男女を分ける配慮は、早めにしたいものです。水がないと清掃が行き届きません。状況によっては、溝を掘ってプライバシーを確保してトイレの代わりとなるような場所を作ることも必要です。
・ストレッチや簡単な運動を心掛けてください。
・車中泊の方に対しては、エコノミークラス症候群(肺塞栓症)の予防が必要になります。できるだけ車中泊は避けるべきですが、難しい場合には、こまめな歩行、水分摂取、ふくらはぎのマッサージを行います。
・暴力が発生することを想定します。子どもや家庭内での暴力、女性への暴力などが起きる可能性に配慮し、早めに介入や予防策を検討します。
・メンタルヘルスのサポートができるような支援を要請することも、被害の程度に応じて検討してください。

 詳細については、「自然災害において自分、家族、同僚、地域の健康を守るヒント集」を参考にしてください。