実際に行った医療活動
 滋賀県医師会JMAT隊は27日、新幹線で熊本に入った。翌日に、JMAT本部のある益城町保健福祉センターに到着した。現地での移動は全て、滋賀県医師会が借り上げた2台のタクシーで行った。

 本部との調整の結果、我々の活動は町役場のすぐ近くの商工会で行うことになった。我々が活動を開始した時は約40人が避難していた。

 以下は、実際に行った医療活動の一部だ。

 IZさん(50歳代女性)。毎日、右踵の褥瘡のガーゼ交換が必要。右足の麻痺のため装具を使用している。その踵の部位のジョイントが右足関節外顆部分にあたり、褥瘡形成となっている。洗浄用には当初、ペットボトルの水を使用した。痛みがあるはずなので4月28日に、後述のSSさんとともに、益城中央病院を受診してもらった。

 同病院も地震のため尿検査しかできない状態にあった。それでも、洗浄用の生理食塩水100mLを7本と処置用の紙もいただいた。この方は身体障害者であるため、医療費はかからなかった。

 SSさん(50歳代女性)とKIさん(70歳代女性)の親子。SSさんは4月24日に38℃の発熱で熊本市内の病院を受診していた。採血、CTにて尿路感染もしくは胆嚢炎(胆嚢内のデブリあり)との診断で、カロナール、クラビット500mg、マグミットを処方されていた。クラビットは必ず毎日服用していた。それでも毎日熱が出ているとのことだった。

 4月28日、我々が接触した時にも37℃後半の熱があった。酸素飽和度は98であった。クラビットを服用していても熱が出るため、IZさんと一緒に益城中央病院を受診してもらった。益城中央病院での尿検査の結果、尿路感染は否定的だった。カロナールのみ処方を受けた。SSさんの場合は、家が全半壊していないという理由だけで医療費がかかった。

 SSさんにはその後、熱源検索のため再度、市内の病院を受診してもらった。その際も、尿所見には異常はなかった。同病院の医師も私も、おそらく胆嚢炎が24日以降も悪化して、28日にはそれがプラトーに達していたのではないかとの見立てで一致した。この日以降、SSさんの症状は軽快した。

 医療費に関しては、地元の医療機関に情報が行き届いていない状況だった。厚生労働省が「自己負担免除のお知らせ」を発していたが、それに照らし合わせると、KIさんもSSさんも医療費のかからない人に該当することが分かった。そこで医療機関にそのことを伝え、SSさんらが既に病院で支払っていた1万1000円、薬局や益城中央病院での医療費など合計1万7000円余りが本人に戻されることとなった。医療費については本部のミーティングでも提起し、情報共有を図ってもらった。

 最後に熱中症について触れておきたい。

 4月29日のこと。気分が悪いというTSさんが我々のもとにやってきた。聞くと、自分の家の瓦の引き下ろしをしている最中に気分が悪くなったという。おそらく軽度の熱中症と思われる。少し商工会で涼んでもらった。しかし、恥ずかしいから車中に引き上げたいと申し出られた。症状は軽微で、熱中症としては初期だったので、患者さんの意向通りにしても問題はないと判断した。その後、我々は水と味噌汁を届けたが、症状は回復に向かっていた。

 恥ずかしいといったTSさんに、熊本県民の気質を見たような気がする。一日も早い復旧、復興を願うばかりだが、無理をせず、一歩一歩進んでいってほしいものだと思う。特にこれからは暑い日が続く。被災された方々あるいはボランティアに入られる方も、熱中症にはくれぐれも気を付けていただきたい。