タバコは絶対にダメです
苅尾  それからタバコは、ダメです。喫煙は循環器疾患の強いリスク因子ですから、災害時の診療に当たる医師は、タバコがリスクであることをしっかり伝えるべきです。

―― 先生はこうした災害時循環器疾患を評価して予防するためのスコアを提案されています。

苅尾  災害時循環器リスクスコア(図1)と、災害時循環器予防スコア(図2)の2つあります。リスクスコアはハイリスク患者を拾い出すのに力を発揮します。合計7点になりますが、4点以上をハイリスク群と判断するものです。一方の予防スコアは被災者に手渡しするものです。避難している人が自ら自分の状態をチェックするものです。さきほどのリスクスコアでハイリスクになった人には、この予防スコアが6点以上になるよう努めてもらいます。

図1 災害時循環器リスクスコア(AFHCHDC7、提供:苅尾氏)

図2 災害時循環器予防スコア(SEDWITMP8、提供:苅尾氏)

―― 予防スコアは、なかなか達成が難しそうな項目もあります。

苅尾  確かに、発災直後などは、実現がとても難しい項目もあります。しかし、ここに挙げた項目を「目標」と捉えれば、一つひとつできることから取り組もうという前向きの気持ちになってもらえるはずなのです。もうお気づきの方が多いと思いますが、被災者が付ける予防スコアは、リスクの裏返しになっています。リスクを並べたのでは、チェックする被災者にマイナスの評価を強いることになります。ですから、反転させ目標となるような表現に変えたのです。

―― スコアを付けてもらうことで、経過観察にもなります。

苅尾  そうです。リスクスコアでハイリスク群をつかめますから、効率的に診療を行うことできます。また、予防スコアをハイリスク群に手渡して定期的にフォローすれば、個人のリスクを評価できます。それだけではありません。リスクスコアは個々人の評価だけにとどまらず、たとえば1つの避難所の生活環境評価にもなります。災害後の生活状況を把握するツールとしても、ぜひ活用してほしいと思います。