2013年4月に花王が発売した「ヘルシアコーヒー」が、特定保健用食品(トクホ)の飲料の中で売上本数が最多で推移している。2013年7月末時点で、ヘルシアコーヒーの累計の売上本数は3079万本を超えた。発売時に初年度の出荷目標としていた4500万本を、2倍の9000万本に上方修正すると、花王は9月初めに発表した。2012年に年300億円だったヘルシアシリーズ(下写真)の売上高(出荷額ベース)を、ヘルシアコーヒーの発売で早期に年500億円に高める計画だ。
 

 トクホは、健康機能性を商品の表示や広告などで消費者に伝えてよいと、消費者庁が認めた食品(飲料も含む)。ヘルシアコーヒーは、「コーヒーポリフェノール(クロロゲン酸類)を豊富に含み、エネルギーとして脂肪を消費しやすくするので、体脂肪が気になる方に適する」という内容を伝えることができる。

 「体脂肪が気になる方に適する」という健康機能性は、花王が03年に発売した「ヘルシア緑茶」と同じ内容だ。ただし、この健康機能を発揮する成分が違う。ヘルシア緑茶は、茶葉に含まれるカテキンが有効成分なのに対し、ヘルシアコーヒーは、コーヒー豆に含まれるクロロゲン酸が有効成分だ。カテキンもクロロゲン酸も、植物性食品に多く含まれるポリフェノールの仲間。ポリフェノール成分には、メタボリックシンドロームの対策など、数々の健康機能を持つことが知られている。

 ただし花王の生物科学研究所は、体脂肪対策に役立つメカニズムが、カテキンとクロロゲン酸とで異なることを見いだしている。

 体脂肪対策に役立つ食品成分の探索は、花王が2000年にヘルスケア食品プロジェクトを開始した時から、集中的に取り組んできた。コーヒーのクロロゲン酸が体脂肪の対策に役立ちそうという実験結果は、ヘルシア緑茶を発売した03年の時点で得ていた。

 花王はその後、コーヒーのクロロゲン酸の健康機能を発揮しやすいコーヒー飲料の開発を進め、2013年にヘルシアコーヒーの発売に至った。ヘルシアコーヒーは、通常の2.5倍のコーヒー豆を使用し、独自の製法でろ過することで、クロロゲン酸の含有量を2倍に高めたコーヒー飲料だ。

 世界中のコーヒーの栄養疫学研究により、糖尿病、肝臓がん、心疾患のリスクを低減するには、1日4杯から5杯の飲用量が目安とされている。今回、独自の製法を用いたヘルシアコーヒーのクロロゲン酸含有量は270mgで、1日1杯で健康機能を発揮するコーヒー飲料を実現したことになる。

 実は、クロロゲン酸の健康機能を活用したトクホ飲料は、まずは、血圧高め対策のコーヒー飲料「リズムライフコーヒー」について2010年3月にトクホ表示許可を取得した。ヘルシアコーヒーについてトクホ表示許可を取得した2011年8月よりも1年5カ月早かった。しかし、体脂肪対策で知名度が高い「ヘルシア」ブランドの体脂肪対策トクホを市場に投入した。
 

表1 「ヘルシア」など花王の特定保健用食品への取り組み

 花王は、体脂肪対策のトクホ食用油「健康エコナ」を1999年に発売(その後09年10月に販売を中止)するなど、トクホの商品化は、体脂肪対策に集中してきた(表1)。2004年には、体脂肪の変動に直結する体全体の代謝量を、部屋の中で生活するヒトについて精密に測定する施設「メタボリックチャンバー」を設置した。民間企業でこのメタボリックチャンバーを設置したのは、花王が世界で初めてだった。