くすりの錠剤のように口から飲み込むだけで、消化管のぜん動で移動しながら腸の中の様子を撮影してくれる――。そんな大腸用カプセル内視鏡が今年7月、厚生労働省から医療機器として承認された。

 「PillCam COLON2」と呼ばれるこのカプセル内視鏡システムは、イスラエルの医療機器メーカー、ギブン・イメージングが開発した。直径11mm、全長31mmと大型の錠剤程度の大きさで(右写真)、カプセル内には両側に1台ずつ計2台の小型カラーカメラ、バッテリー、発光ダイオード(LED)光源を内蔵する。カプセルには外部に接続するワイヤーや光ファイバーケーブルなどは一切ない。

 自走機能や送気機能もなく、消化管のぜん動が推進力になる。嚥下後、約10時間にわたってLEDを点滅させながら毎秒最大35枚の画像を撮影できる。画像は被験者の腹部に貼付された8個のセンサーを通して腰のベルトに装着した記録装置に転送される仕組みだ(下写真)。その間、被験者は検査室にどどまる必要はなく、外に出て日常と同じように行動してもよい。

 適応は、大腸内視鏡検査を必要としながらもその検査の施行が困難な患者。消化管の狭窄や閉塞が疑われる場合は禁忌となる。この大腸用カプセル内視鏡は、CEマークを取得し欧州や一部アジアで販売されているほか、米国では承認申請中だ。国内では既に、ギブン・イメージングとオリンパスの小腸用のカプセル型内視鏡が承認されているが、大腸用は今回の製品が初めてだ。

「PillCam COLON2」の期待される用途は大きく分けて二つある。一つは、出血源不明の消化管出血や腹痛、体重減少などが続くなどの症状から大腸の疾患が疑われるが内視鏡検査ができない患者に対して。画像読影の結果、ポリープやがん、炎症などが疑われれば、必要に応じて腹腔鏡や開腹で処置や手術を行う。

 もう一つは、大腸がん検診での活用だ。従来の大腸がん検診では、まず便を採りがんやポリープ由来の出血が含まれていないかどうか確かめる便潜血検査を行う。その結果、陽性であれば、医師が肛門から大腸に内視鏡を入れて実際にがんやポリープがあるかどうか調べる。しかし現状では、便潜血検査で陽性と分かっても、恥ずかしさや心理的抵抗感から大腸内視鏡検査を受けるのをためらったり、近くに大腸内視鏡検査を行う施設がないなどの理由で大腸内視鏡検査を受ける人は6割弱にとどまっている。

 近年、大腸がん死亡は急速に増加している。便潜血検査陽性者に対して大腸内視鏡検査の代わりにカプセル内視鏡を進めれば、異常所見の発見率も向上し、大腸がん死亡が大きく減少することが期待される。