【アタマジラミ症】
沖縄などで抵抗性株が流行

 アタマジラミはシラミの一種で、頭部に寄生する。寄生初期には自覚症状は乏しいが、個体数が増えると激しい掻痒感を生じる。

 現在国内で唯一、アタマジラミ駆除用に認められているのは、ピレスロイド系殺虫剤であるフェノトリン(商品名スミスリン)だ。シャンプー剤や粉剤として販売されている。しかし、この駆除剤に抵抗性を示すアタマジラミが、沖縄などの一部地域で大きな問題となっている。

 実は、世界的にもピレスロイド抵抗性のアタマジラミが流行している。90年代後半から、抵抗性を示すアタマジラミが報告されるようになり、2000年に入ってからは、米国などではほぼ全てのアタマジラミがピレスロイド抵抗性を有すると報告されるようになった。

「アタマジラミの新しい駆除剤の開発は進んでいるが、実用化にはもう少し時間が掛かりそうだ」と話す、国立感染症研究所の冨田隆史氏。

 「沖縄の状況は他の先進国と同じ。今後、時間がたてば、全国的に駆除剤抵抗性のアタマジラミが広まる可能性が高い」と、感染研の冨田氏は話す。

 冨田氏らは、06年から11年までの6年間、アタマジラミ駆除剤(スミスリン)抵抗性の全国調査を実施した。その結果、沖縄などの一部地域で高い駆除剤抵抗性を確認した(図5)。ただし、「調査を開始した当初は、駆除剤抵抗性アタマジラミの急激な拡大が危惧されたが、これまでの調査では、抵抗性の上昇は認められなかった」と冨田氏。

図5 都道府県別の駆除剤抵抗性アタマジラミの検出率
茨城や長野などでも検出率は高かったが、試験数が少なく保護者提供数が多いことが影響している可能性がある。保護者提供とは、保護者が直接、感染研に検体を持ち込んだもの。駆除に苦慮して持ち込む場合が多く、一般に検出率が高い。(「アタマジラミ駆除剤抵抗性の全国調査結果」を一部改変)
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 アタマジラミの感染拡大を防ぐための啓発活動として、流行が生じやすい学校や保育所などでは、タオルやクシの共用を避け、親が子どもの頭髪を丁寧に調べて成虫や卵の早期発見に努めるべきなどの指導が定期的に行われている。「このようなキャンペーンが功を奏して、駆除剤抵抗性の上昇を抑えている可能性がある」と冨田氏は分析する。

 ただし、沖縄県などでは、ほぼ100%のアタマジラミで駆除剤抵抗性が認められており、有効な駆除剤へのニーズは高い。新たな駆除剤の導入が待たれる。