道又内科小児科医院(岩手県大槌町)院長
道又 衛氏

 大槌湾から数百mしか離れていなかった自宅兼診療所は、津波で全て流されてしまいました。昨年5月には、大槌川の上流にある知り合いの建物を借りて仮設診療所を開設。現在の患者数は1日約50人まで戻りました。ただ、震災前の70〜100人と比べるとまだ少ない。人口の激減や、交通手段の不足によるアクセスの不便さなどが背景にあるようです。

 一方で、患者さんの様子は随分落ち着いてきました。昨年の初夏までは震災の影響とみられる高血圧感染症などの患者さんがほとんどでしたが、最近は健診を希望して来院する人が目立ってきました。仮設住宅が整備されてコミュニティーもだいぶ形成され、気持ちに余裕が出てきた人が増えているのでしょう。

 実は私の仮設診療所では血液検査や心電図検査くらいしかできず、こうした需要に応えられないので、早く新しい診療所を開設したいと思っています。5、6月ごろに今の場所の近くに新設できるよう準備を進めています。

 現在の最大の懸念は、震災で全壊した県立大槌病院。同病院の入院機能がなくなり、自宅で診なければいけない患者さんが増えているのですが、開業医だけでカバーするにはやはり負担が大きい。大槌病院があってこそ、私たちも安心して診療できるのです。

 勤務医不足などもあり、以前と同じ病床数を整備するのは難しいのかもしれませんが、規模を縮小してでも入院機能を再開してほしいと思っています。そのために、私たち開業医も支援します。今春から休日の同病院の日直を輪番制で担当する予定です。(談)