石巻市雄勝診療所(宮城県)所長
小倉 健一郎氏

 かつて私は、関西の病院で整形外科の勤務医をしていました。その後、阪神・淡路大震災を機に災害医療に興味を持ち、非常勤の医師を続けながら海外の被災地や発展途上国で医療支援に携わってきました。同時に、様々な病院で小児科や形成外科、麻酔科、耳鼻科など、他科の知識や技術を身に付けました。被災地や途上国での活動を経験して、「何でも診る」ことが必要だと実感したからです。

 東日本大震災では、医療支援団体の一員として仙台市や宮城県南三陸町での短期の医療支援に参加。ただ、昨年5月に公立志津川病院(南三陸町)の支援をしていた際、町の壊滅状態を目の当たりにして、長期にわたる支援が必要だと痛切に感じました。いつか僻地医療に携わりたいと思っていたのも動機となりました。

 宮城県の公募を通じ、震災後に無医地区となっていた石巻市雄勝町に赴任しました。2011年10月から仮設の石巻市雄勝診療所で外来診療と訪問診療をしています。患者の多くは山間部や高台に住む高齢者。毎日午前中は20人程度を外来で診て、午後は訪問診療に回ります。診療所では、生化学検査や超音波検査をできるので、その範囲で診療を続けていますが、近くに病床がないので不便を感じることもあります。

 個人的には医療だけでなく、雄勝町の復興も手助けできないかと考えています。これまでの経験や自分の人脈を生かして、できることをしていくつもりです。2〜3年後には正式な診療所が建ちます。それまで診療を続け、その時点でその先も残るかどうかを決めようと思っています。(談)