岡部医院(宮城県名取市)理事長
岡部 健氏

 岡部医院を中心とした医療法人爽秋会では、3カ所の診療所と訪問看護ステーションが核となって主に在宅医療を手掛けており、2010年には癌患者など400人弱を看取りました。

 東日本大震災ではどの拠点も津波の被害を免れ、車両や医療機器の被害もありませんでした。仙台市の周辺では医薬品などの流通が滞ることもなく、大きな混乱は起きませんでした。ただ、震災直後は訪問診療ゆえの大変さにも直面しました。

 1つは、ガソリン不足です。車が動かなければ、訪問診療は成り立ちません。また、通常、各職員が個別に訪問診療や訪問看護に回っているので、医師や看護師が全員そろうことはありません。そのため、有線電話に加えて携帯電話もインターネットも不通になった震災時には、職員間で情報を交換するのもままなりませんでした。

 やむを得ず、震災直後は各拠点の扉に張り紙をし、必要な情報はそこでやり取りしました。私たちは日ごろから携帯電話のメール機能を使ってメーリングリストを作り、情報交換していたのですが、携帯電話は比較的早く復旧したので、その後は携帯電話を中心に情報交換できました。

 こうした経験から、11年4月には当法人の災害対策ガイドラインを作成。災害発生時などに各拠点に災害対策室を設置することや指揮命令の担当者を決めました。通信が不可能な場合は、張り紙で情報交換を行うことも取り決めました。車のガソリンは備蓄しておくわけにはいきません。今では医師も看護師も、ガソリンの量が半分を切ったら給油する習慣ができています。(談)