福島県では、県沿岸部のほぼ中央に位置する福島第1原発の事故により、周辺の20km圏内が警戒区域に指定され、12年2月時点で7カ所の病院などが診療を休止中だ。

 それ以外の地域の病院は診療を再開したものの、11年9月まで一部が緊急時避難準備区域に指定されていた南相馬市など、特に警戒区域北側の相馬エリアの病院では、医師や看護師の流出が深刻で診療を縮小せざるを得ない状況。さらに、警戒区域内の病院が休止して連携できないことから、周辺の地域では救急医療や急性期医療の提供体制の再構築などが必要になっている。

 福島県は、公立相馬総合病院(相馬市、一般240床)の病棟改築や南相馬市立総合病院(一般230床)の脳卒中センター新設などに予算を付け、相馬エリアで救急医療を担う病院の機能強化を図るほか、同地域の大町病院(一般104床、療養84床)の人工透析装置を増やすなどする。

 また、これまで診療所しかなかった同エリア最北の新地町において、救急医療を行う病院の新設を後押しする。既に、渡辺病院(南相馬市、一般175床)が2次救急を担う分院(一般140床の予定)を新設する方針を固めた。渡辺病院は新地町での分院新設に伴い、南相馬市に現在ある病院を老人保健施設とする予定で、従来、病院病床が多いと指摘されてきた南相馬市における機能分化も進む見通しだ。

 福島第1原発が位置し、大部分が警戒区域に指定されている双葉エリアの復興については、ほぼ白紙の状態。県地域医療課副課長の下重修氏は「避難住民がいつ、どこまで戻れるかが分かってから、具体的な内容を詰めていく」と話す。

 福島県の医師不足は特に深刻だ。県内138病院では震災後、昨年末までに医師数が71人減り1942人となった。福島県は、県立医大に寄付講座を設けて被災地に派遣することや、県立医大の定員増などで対応する構えだが、これらの施策で医師が確保できるかどうかは分からない。

図3 震災と原発事故で影響を受けている主な病院と再開状況(病床数は震災前と現在のもの)
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