多職種で毎日会議を開催
 気仙沼在宅支援プロジェクトでは毎日、医療支援の拠点となっている市民健康管理センターで、医師や看護師、保健師、栄養士、薬剤師など多職種による会議を開催。支援に訪れた医師の数などに応じて担当する患者を割り振り、地元の医療者も含めて新規患者の紹介や引き継ぎのための活発な議論を行う。

 「しばらくは、震災で増悪した褥瘡患者や廃用症候群の患者に対し、密な医療を提供する必要があるだろう」と永井氏は話す。実際冒頭の患者のように、震災後の訪問診療の頻度は高まっている。永井氏などの呼び掛けを通じ、気仙沼在宅支援プロジェクトには次々と全国の医療者が集結。「マンパワーの面でも、ある程度長期に支援することができそうだ」と永井氏は見る。

 今後の課題は、この在宅医療の体制をいかに地元気仙沼市の医療者に引き継ぐかだ。濃密な訪問診療を継続的に提供することで、患者の状態は改善し、在宅医療のニーズは徐々に落ち着くことが予想される。ただ、訪問診療が必要な患者は震災前より増えている。

 震災前まで、気仙沼市で最も多くの在宅患者を抱え、同プロジェクトにも関わっている村岡外科クリニック院長の村岡正朗氏は、「私も含め、被災してまだ動けない診療所も少なくないが、今後は手分けして増えた在宅患者を診たい」と話す。

 村岡氏自身、津波で診療所が水没し、これまで訪問診療を行う余裕はなかった。4月末に仮住まいに移り、訪問診療を徐々に再開させる計画だ。そのため、毎日の会議に顔を出して情報を共有し、地元の在宅医療について将来像を描く。震災を機に、気仙沼の在宅医療の提供体制は大きく変わろうとしている。