医療の復旧にも地域差
 医療提供体制の復興に向けては、地域それぞれが独自の課題を抱える。例えば、医療機関が壊滅し診療を停止した南三陸町では、病院の復活を求める地元住民の声が強い。しかし、震災による死亡や他地域への避難などで、4月末時点で町の人口は6000人台と半分以下に減っている。住居が跡形もなくなったこの地域に、今後どれだけの人が戻ってくるかは不明だ。町をどのように復興させるかが決まらなければ、医療再建の青写真も描けない。

 一方、石巻市では、被災を免れた医療機関が比較的多く、震災前の医療提供体制を築く見通しは立つ。しかし、高齢者の長期療養や介護の受け皿が元々十分ではなく、これをどう構築していくかが問題となっている。

 宮古市のように、基幹病院や診療所の被害が小さかった地域では、震災前と同様の医療体制を、改めて構築し直す方向で復旧が進んでいる。県立宮古病院が無傷で残り、流された診療所も少ないため、4月末時点で医療機関はほぼ復旧した。

 岩手県釜石市は震災前から在宅医療の体制が整えられており、急変時の対応を行っていた県立釜石病院などが復活すれば、従来のような体制を敷くことができる。医療の再建に向け、道筋は見えている。

 ただ、被災地では多くの人が避難生活を送っており、そのストレスが心身面の健康を蝕んでいる。長期にわたる精神的なケアや、ADLが低下した人たちのリハビリテーション、在宅医療によるカバーなども必要になってくる。現地にどれだけの医療と介護のニーズが生じるのか、まだ十分に把握しきれていない。

 こうした患者に医療の手を差し伸べるために、医療者は今日まで、どう動いてきたのか。Vol.2以降では、医療提供体制の再構築に向けて奮闘する医療者の姿をリポートする。