放射性物質に汚染した人は、脱衣をすることでその90%は減少するといわれている。その上、シャワーで全身を洗身するのが一般的だが、その水が散ったり飲んだりする可能性もあり、今回の災害のような被災地域では水がないという事態も多いことから、露出部を湿らせた布などでやさしく拭くだけでも十分である。

 希望者には、体表面の放射線汚染検査を行う。検査は定期的な調整を受けている装置で決められた手順で行うことが重要であり、個々の医療施設がばらばらに行うより、公的機関などで集約して行うことが望まれる。人的・物的資源や測定技術などが不足であれば各自治体の放射線技師会などに協力を仰ぐとよいだろう。

 一般住民では考えにくいが、一般的には1Gy(γ線やX線であれば1Svと同じ)以上の被曝で治療対象となる可能性がある。ただし、胎児の奇形発生は100mSv、男性の一時的不妊は精巣に150mSv、リンパ球減少は500mSvで生じる可能性がある。従って100mSvを超えるような被曝があった場合は除染後、記録して継続的に管理を行う必要がある。

 被曝を受けた患者が来院したときの対応法を図2に示した。除染済みで搬送されて来ることも多く、汚染があっても低線量と考えられ、2次被曝の恐れはほとんどない。除染のほかは、バイタルサインの確認をはじめ通常の救急処置を行えばよい。

 現時点では、一般住民に身体影響が出るレベルの汚染・被曝はなく、今後精神的ケアなどが大きな課題となると思われる。多くの住民と顔の見える関係を構築している医師が、正しい情報を彼らに知らせることが非常に大切だと思う。(談)

図2 「初期被ばく医療機関」における患者への対応・処置の流れ(市立八幡浜総合病院「緊急被ばく医療措置マニュアル」より)
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