アメリカ疾病予防管理センター (CDC)が、2004年のインド洋津波の復旧経験などを受けて作業をどのように安全に進めていくべきかをまとめたリポートなどを基に、北里大学医学部衛生学公衆衛生学講師の和田耕治氏らが地震や津波が起こった際の対処方法を自身のWebサイトに掲載している。日経メディカル オンラインでは、同氏の許可の下、同サイトを編集、転載させていただいた。


 寒さの中で作業をするのは大変です。東北地方はまだまだ寒い日が続いております。また、衣服が濡れると同様に体力を消耗します。次のことを参考にして、健康を守りながら可能な範囲で作業をしてください。

1)食事はきちんと摂る
多くのエネルギーが必要となるため、脂肪の多い食事でカロリーを確保する。
安全な血糖値を確保するために充分な炭水化物を摂取する。

2)水分を摂る
トイレに行きたくないという思いから水分を制限したくなるが、寒冷環境では、喉の渇きが抑制されるため、頻繁に温かい水分を摂り脱水を防止する。
ただし、アルコールやカフェイン、ニコチンは、血管拡張を誘発し、利尿が促進されるため望ましくない。

3)衣服は重ね着をして保温に努める
汗をかいたり、水で衣服が濡れたりしたときは、体温が奪われるため、乾いている衣服に着替える。暑いと感じたときは、上着の脱ぎ着で調整する。子供や高齢者は体温を失いやすいので、成人以上に保温に努める。

4)手、足や目などの保護
指先やつま先は冷えやすいため、手袋、靴下を着用する。
紫外線とグレアから目を保護するためにサングラスなどを着用する。ただし、金属製のメガネ、腕時計は皮膚温を低下させやすいため、着用を避ける。

5)こまめに休憩を取る
屋外での作業時間の目安は気温が−10℃〜−25℃の時で50分程度とし、温かい部屋で少なくとも30分の休憩時間を確保する。ただし、これは、寒冷環境の作業に習熟し、適応した健康な成人男子で、ほぼ無風の状態での基準である。
循環器系に病気がある人や高齢者の場合は衣服の防寒対策をさらに行う、作業時間を短くするといった配慮が必要である。
風がある状態では、予想以上に体温が低下する。風がある場合は防風着を着用する。

6) 凍傷を予防する
冷えによる手指などの痛みやしびれは、作業がしにくくなるだけでなく、凍傷に至る危険信号である。ゆっくり暖める。感覚が麻痺していることもあるので、暖め方に注意すること。

7)複数人で行動する
複数人で行動し、互いの安全を確認する。トラブルが発生したときは、冷静に対応し、集団から離れないようにする。

8)移動
氷の上を歩くのは怪我の危険性がある上、体温を奪われやすいので、避ける。
移動する場合には、目的地や到着予定時間を誰かに伝える。予定時間を過ぎても到着していない場合は、警察などに通報する。

9)屋内の一酸化炭素中毒を防止する
石油ストーブは換気ができる状態で使用する。
一酸化炭素中毒の恐れがあるため、屋内で発電機、グリルなどを使用しない。
換気を行いつつも、ドアや窓の不要な開閉を避け、室内の熱を逃がさないようにする。
隙間はタオルなどでふさぐ。

10)屋内火災を防止する
破損した電気コードを使用しない。延長コードを使用しない。暖房機器の近くに子供を1人にしない。

参考資料
ILO産業安全保健エンサイクロペディア(第4版)
日本産業衛生学会 許容濃度の基準(2010年)
労働安全ハンドブック(第2版)