アメリカ疾病予防管理センター (CDC)が、2004年のインド洋津波の復旧経験などを受けて作業をどのように安全に進めていくべきかをまとめたリポートなどを基に、北里大学医学部衛生学公衆衛生学講師の和田耕治氏らが地震や津波が起こった際の対処方法を自身のWebサイトに掲載している。日経メディカル オンラインでは、同氏の許可の下、同サイトを編集、転載させていただいた。


 自宅に戻る場合には、最低限、次の点を確認した上で、自分や家族を守りましょう。

1.被災した建物に入る時に注意すること
□建物の安全が専門家などに確認されてから入ります。
□臭いがしたらすぐ外に出ます。
□異音がしたらすぐに外に出ます。
□火気を取り扱いません。
□子供は作業区域内にいません。

 構造検査の専門家や行政の担当者によって建物安全が確認されるまで、建物からは離れていましょう。停電していたり、懐中電灯などを持っていないときには、危険物を避けるために、建物に入るのは昼間にしましょう。

 何かが崩落する音がしたり、何かガスの臭いがしたり、何かが漏れていると疑われた時には、すぐに外に出てください。もし、あなたが、ガスの臭いを感じたら、救急隊に連絡して、決して、懐中電灯の点灯、マッチの点火、喫煙など、火花の原因になるような行動はとらないでください。安全が確認されるまでは、建物に戻らないでください。清掃作業が完全に終わるまで、子どもは、清掃作業区域外にいさせるようにして下さい。

2.一般的な安全対策に関すること
□消火器がそばにあります。
□ヘルメット、保護めがね、保護手袋、安全靴、保護マスクは準備できています。
□重量物を取り扱う作業は1人で行いません。
□ゴム製の長靴やゴム製の手袋の準備はできています。
□チェーンソーを使用するときの注意事項は確認できています。
□適切な休憩時間は確保されています。

 すべての清掃作業場所に、少なくとも2台の消火器を持っていくようにしてください。作業中はヘルメット、保護めがね、重作業用の保護手袋、防水加工のされた安全靴(つま先や中敷きを金属で補強された靴)、保護マスクを着用してください。瓦礫を取り除くときには、2名以上のチームで行ってください。1人当たり約23キログラム以上の物を持ち上げることは避けてください。

 チェーンソーを使用するときには、使用上の注意に従って、適切な保護具を使用し、送電線に注意し、他の作業者とは十分に安全な距離を取ってください。瓦礫の下にある木、枝には注意して下さい。電気チェーンソーを使用するときには、感電しないように十分に注意してください。

 もし、あなたの家の中に、汚水が逆流しているときには、汚水で汚染された場所で作業をするときには、ゴム製の長靴、ゴム製の手袋をするようにしてください。

3.一酸化炭素中毒に関すること
□自家発電機を室内で使用していません。
□自家発電機を使用している側に開いた窓やドア、使用している換気扇はありません。

 高圧式、ガソリン式、プロパンガス式、天然ガス式、石炭燃焼式の発電機を絶対に室内では使用しないようにしてください。また、室外であっても、開いた窓、ドア、使用している換気扇の近くでも使用しないでください。一酸化炭素は、無臭、無色で、突然の体調不良や突然死の原因となります。

4.かびに関すること
□作業者はアレルギーや呼吸器疾患を持っていません。
□壁にカビは付着していません。
□カビの臭い、異臭はしません。
□汚水が染み込んでいる物品は、洗濯または消毒をします。

 津波や台風、洪水の後は、湿度が上昇するため、カビが繁殖しやすい環境です。喘息やアレルギーや、呼吸器疾患を持っている方は、カビにより持病が悪化する可能性が高く注意が必要です。また、免疫力が低下している方(HIV感染者、化学療法を受けている癌患者、臓器移植を受けた方)は、カビに感染しやすいので注意が必要です。

 カビに曝露すると、鼻水、目のかゆみ、喘息、皮膚のかゆみ、などのアレルギー症状が生じます。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の方は、カビが肺に感染しやすい状態になっています。症状が出た場合には、すぐに専門家に相談をしてください。

 カビは、見た目と臭いで認知することができます。
 
 洗濯、消毒ができないもの(例:マットレス、カーペット、パッド、絨毯、布張りの家具、化粧品、動物のぬいぐるみ、幼児用・乳児用玩具、枕、スポンジゴムで覆われた物、本、壁紙、紙製品など)は、取り除くか破棄してください。

 汚水や下水が浸み込んでいる化粧ボード、保温材は取り除くか破棄してください。表面が固く滑らかな器具(例:フローリング、コンクリート、モルディング、木造や金属の家具、調理台、調理器具、洗面台、その他の衛生器具)は、熱湯や食器洗い用の洗剤でしつこく洗浄してください。