東京電力・福島第一原子力発電所が被災した福島県では放射性物質汚染の問題が長期化し、病院運営にも影響が出始めている。今後の復旧の見通しが立たず、医師や看護師の離職が相次いでいるという。このまま医療従事者の離職が続けば、閉鎖せざるを得なくなる病院も出かねない。福島県病院協会会長の前原和平氏に、今年7月下旬に実施した退職者調査の結果を踏まえて、福島県内の病院の現状や今後の支援のあり方などを語ってもらった。(まとめ:豊川琢=日経メディカル)


福島県病院協会会長で、白河厚生総合病院院長の前原和平氏。

 福島県では現在、医師や看護師が自主退職するケースが増え、人員基準を満たすのに四苦八苦している病院が増えています。

 7月20〜23日に県内の127病院を対象として実施した退職者に関する緊急調査(回答数54病院、回答率42.5%)では、「現状で入院基本料の基準が満たせなくなる」と回答した病院が全体の18.5%に上ったほか、「現在は平時に比して入院患者数が減少しているが、平時の入院患者数であれば入院基本料を満たせなくなる」が7.4%、「離職希望の人が離職してしまうと入院基本料を満たせなくなる」が16.7%に達しました(図1)。

 震災前には回答病院に計1168人の医師がいましたが、震災発生から3月31日までに67人、4月1日から7月20日までに57人が離職しました。さらに、調査時にまだ勤務しているが離職を希望していた人が11人いました(図2)。いわき市のある慢性期病院では医師6人のうち3人が辞めてしまい、一時、当直体制を保てない状況に陥ったようです。

 看護師の離職も深刻です。震災前は回答病院に計6254人の看護師がいましたが、震災発生から3月31日までに182人、4月1日から7月20日までに205人が離職し、調査時にまだ勤務しているが離職を希望していたのは77人に上りました。このため、算定している入院基本料の看護配置基準などを満たせなくなる病院が出始めているのです。