派遣予定スタッフの事前登録制を計画
 11週間滞在しましたが、その間に診療した患者数は延べ約2000人。山田町ではDMATなどの急性期を担う医療支援チームが撤退した後、地元の開業医が中心になって患者を診ていましたが手いっぱいの状態でした。そんな状況下、私たちは山田病院において24時間体制で診療に当たり、比較的重症な患者や夜間の救急患者を主に診る役割を担いました。咽頭癌で大出血した患者や心筋梗塞の患者、脳梗塞の患者などが救急車で運ばれたこともあります。また、避難所を巡回診療する中でリハビリのニーズが高くなっていることも徐々に分かってきました。そこで、5月末からはリハビリスタッフも派遣し、避難者に機能訓練をしてもらうようにしました。

被災者の診療に当たる横川氏(一番左)。

 こうした中で、山田病院のスタッフの方々にはとても感銘しました。一緒に巡回診療に回ってくれ、顔見知りの避難者に積極的に話し掛けてスムーズに病状や心情を引き出してくれました。自身が被災して家族が亡くなっている人もいたのですが、それをおくびにも出さず業務に携わる姿には、私たちが逆に勇気付けられました。

 最終的に派遣したスタッフは、グループの病院や介護施設などの17施設から延べ70人以上に上りました。スタッフが被災地に赴いた施設では一時的に人員が減り、残されたスタッフに大きな負荷がかかりました。ですが、「被災地に行けなくても自身の施設で頑張ることが支援になる」という気持ちが自然と多くのスタッフに芽生え、グループ全体の士気がさらに高まったのです。

 今回の経験は、当グループがこれから先、医療支援活動をしていく上でとても大きな財産になりました。希望者全員が被災地に行くことはできませんでしたが、この人たちを中心に派遣予定スタッフとして事前に登録しておくシステムを作り、次に活動機会があればより素早く対応できるようにして災害発生から1週間前後には被災地での医療支援に当たれるようにしたいと考えています。この度の大震災では山田町だけでの活動でしたが、今後は複数の被災地での支援を可能にしたいと思っています。

 7月4日に山田病院の仮設診療所が完成したのを機に、7月8日、私たちは撤退しました。ですが、被災地の状況を勘案しながら、これからも被災者の心の支えになるような支援を継続していかなければいけないと考えています。今後、被災地の医療復興計画が作られていくでしょう。その中で当グループができることがあれば積極的に担っていくつもりです。