土地は既に200坪借り、開業に向け着工しています。9月1日には診療を開始する予定です。24時間型の在宅専門診療所の予定ですが、地域のニーズに併せて、こころのケアの拠点の設置も予定しています。そうして現地で診療活動を行いながら、診療所を譲れる石巻の先生を探し、短ければ半年、長ければ1年で院長職をお任せしたいと思っています。

石巻での開業の背景にあったIHLの仲間たち
 東京での診療も担いながら、遠く離れた石巻に24時間型の診療所を開業するのは大変です。正直、迷いました。ですが、私が主宰している勉強会のメンバーから「やるべきと思うならば、自らがやるべき」と後押しされ、気持ちが固まったのです。

 この勉強会について少し触れさせてください。これは、ヘルスケアを取り巻く課題を解決に導くリーダーを育成するために、2009年に立ち上げたNPOで「ヘルスケアリーダーシップ研究会(IHL)」といいます。日本の医療をよくしようと思っている人たちがその思いをさらに強くし、さらには互いに切磋琢磨して自らが鍛えられるような真剣勝負の場を提供したいと考え、月に1度、一流の講師陣を招き、議論する場を提供してきました。

 当初は、医師をはじめとした医療関係者が多かったのですが、2010年は、金融系企業や外務省など、医療従事者ではない人たちが半数以上を占めました。これは大正解でした。ともすれば医師は自分の立場からのみの視野で語りがちですが、より多面的で、かつ多くの医師にとって馴染みが薄いマネジメントスキルを持ち合わせている人との議論の場を持つことで、お互いの世界が交じり合い、新たな視点を学ぶ貴重な場になったと自負しています。

 例えば医師は、「日本の医療の最大の課題は、病院の医師の過重労働だ」「医局制度がおかしい」と声高に叫びます。ですがその結論に至る論理展開が弱く、仮に解が正しい方向であったとしても、それが人々の共感を集め社会を動かしていくにはなかなか至らないのが現実です。一般企業に勤務する人の多くは、事実を捉え、論理的に解に行きつく思考能力、そしてそれを人に説明するスキルを叩き込まれています。ところが漠然と「こうした方が日本の医療はより良くなる」との説明にとどまる医師は行き詰り、「ただ僕はこう思う」で終わってしまうのです。医師は優秀な人たちなのですから、もっと自分の視野と可能性を拡げられるのではないでしょうか。

 IHLのメンバーは、医療に対する強い問題意識と変革のための高い行動意欲を持ち、私がやりたいことや強み、弱みをよく分かってくれていますから、石巻での開業についても安心して相談できたのだと思います。そして、本当に応援してくれています。

 2011年のIHLは9月からスタートする予定です。今年もよりパワーアップして、多くの方々の参加をお待ちしています。興味のある方は、まずは7月16日に行うIHL2011説明会・公開セミナーにお申し込みください。日経メディカルオンラインをご覧になった方は直前までお申し込みできます。