写真3 津波後の火災で延焼した市立門脇小学校 「すこやかに育て心と体」との標語が、今となっては痛々しい

 6日の早朝、名知医師らとともに石巻市立病院の近くまで出かけた(本稿1ページの写真1)。道路の瓦礫や流れ着いた船などは自衛隊が撤去していたので、安全かつ迅速に病院の近くまで車で行くことができた。ただ、強い腐敗臭に悩まされた。各区域に「捜索済」の立て札が立てられていたが、それが疑わしくなるくらいの強さだった。

 延焼した市立門脇小学校の建物の屋上に残る「すこやかに育て心と体」の看板が、幼い犠牲者を連想させてつらかった(写真3)。

 たぶん粉塵も混じっているので、喉が痛くなるのだろう。むせて咳き込むくらいの臭いの中で誰もが無口になったが、「がんばろう!石巻」の立看板の横に鯉のぼりを発見したときには、皆が明るくなった(写真4)。

 今日は子供の日の翌日だったのだ。今この土地に必要なのは、このような明るい話題だ。仮設住宅、自由になるお金、そして微笑ましい話題、そしてその次に基本的な医療――。これらが復興のエネルギーとなるのではなかろうか。

写真4 途中でみつけた「がんばろう!石巻」の看板と鯉のぼり 作っていただいた方に、ただただ感謝です

 “坂の上”ではなく、“枯れ井戸の底”から見上げる雲なのかもしれず、這い上がるには障害があまりにも多いのかもしれないが、目指す先が見えた気がした。

 私と入れ違いで「遊楽館」から帰任した学生さんたち。既にJICAや国境なき学生で国際医療支援の実際を現地で学んできた、これらの学生さんの志の高さには圧倒された。我々の学生時代とは隔世の感があり、日本もまだまだ捨てたものではないぞと気を強くした。

 平素私の記事を読んでいただいている循環器専門医の先生方も、家庭医療のエッセンスをPCAT東京本部で半日も研修すれば、後は日常診療の延長ですから被災地支援は心配いらないと思います。被災地支援なんて一度もしたことがないし、自分が役に立つのだろうかと迷っていらっしゃる先生、PCATに登録するのも一法かと愚考します。いかがでしょう。

(編集部注:本記事は、循環器医のための専門サイト「日経メディカルオンライン 循環器プレミアム」で2011年5月16日に公開された記事を再掲載したものです)