震災発生から1カ月余りが過ぎ、被災地の復旧は進む。それとともに、非常事態に懸命に対応してきた医療スタッフは、自身の境遇、蓄積した疲労をようやく自覚しつつある。気仙沼市立病院呼吸器科の椎原淳氏が、地震発生後からNMO編集部に報告し続けてもらっている日々の状況について、4月16日にいただいた分を掲載する。

4月16日13:25
ヘドロやがれきから舞い上がる砂煙で喘息が増悪?

 震災の発生から1カ月が過ぎ、気仙沼は復興へ一歩一歩前進しています。ガソリンも十分に供給されるようになり、人やモノの往来は日に日に多くなっています。被害の大きかった鹿折・唐桑地区の避難所も、ここに来てようやく状況の改善の兆しが見えてきました。町では美容院も先日より始まっているようです。

 市立病院の消化器内科も一般診察を始めて、病院の機能はほぼ元通りになりました。しかし相変わらず、日々たくさんの救急患者が救急車に乗って病院を訪れます。

 「少し変わった肺炎などは出ていないのですか?」とたまに質問を受けるのですが、粉塵やガスが明らかに関与したと思われるような変わったタイプの肺炎は、現在のところ見られていません。ただし、気管支喘息患者のコントロールが悪化している印象があります。薬をなかなか取りに来られないために吸入薬を自分で調節して節約していた患者もいましたし、春先という季節も関係しているかもしれません。

 確かに、街を歩くと乾燥したヘドロやガレキから砂煙がもうもうと舞い上がっているのが確認できます。粉塵の粒子としてはかなり大きいはずなので、末梢の肺胞領域までは到達せず肺炎とはならないのだと思われます。しかし、気道の過敏性が亢進している気管支喘息患者にとっては増悪因子となり得るのかもしれません。

 街の風景は復興への歩みを感じさせるものの、愛する人を失った悲しみ、家を流されて帰る場所を失った悲しみは消えません。余震、津波の恐怖もなかなか消えません(正直、自分も例外ではありません)。

 「帰るところがなくなっちゃった…」と涙を流している看護師もいました。震災後1カ月。避難所にいる被災者の方たちはもちろんですが、大切なものをたくさん奪われた状態で、ゴールの見えない災害医療に従事し続ける医療スタッフも、蓄積した疲労を自覚し始める頃になりました。

 もともとがギリギリの状態、あるいは崩壊しかかっていた地域医療です。訪問診療や訪問介護、老人保健施設といった機能の復旧も合わせ、システマチックに再生されるのは年単位、もしかしたら数年の時間を必要とするのかもしれません。

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