階上地区の看護師/保健師の方達と。地域との連携の要となる方々です

 気仙沼は半農半漁の都市です。漁師の方特有の気質や、地域特有の文化もあるでしょう。今回のような広域災害で精神的なケアを試みるとき、こういった副次的な要素をどれだけ考慮すべきなのか、不勉強の私は知らないまま現地の活動に当たってしまいました。私自身の研究テーマは心身両面の外傷であり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)も含んでいますが、この問題に触れている欧米の文献は、今まで読んだことがありません。

 これからは私個人の研究課題としても探求したいと思っていますが、このことは今回被災された方々の精神心理面の問題に向きあうとき、見過ごしてはいけない点なのではないかと考えさせられました。どんな時でも医療者は、医療倫理の“do not harm”の原則を忘れてはいけないと思うのです。

PAやNPが日本の医師と連携して活動

左から山之内薫NP、筆者、住谷樹絵梨PA

 今回はPA(physician’s assistant)の住谷樹絵梨(じぇり)さんともご一緒させていただきました。階上は、日本にはない医療職が日本の医師の方々と連携して活動に当たることができた、数少ない医療支援現場だったのではと思います。

 今回は非常時の特例として、医師やNP、PAなど日本で認定されていない海外の資格を持つ医療者が、職務規定内で医療行為を行うことが一時的に認められました。

編集部注: 厚生労働省は3月17日時点で「外国人医師による被災者への必要最小限の医療行為は違法行為には当たらない」とする事務連絡を出しているが、NPやPAについては、4月6日時点で明文化されていない。しかし、NMO編集部が厚生労働省医事課に問い合わせたところ、「外国人医師と同様、NPやPAについても被災者への医療行為は違法行為には当たらない」との返答が得られた。

診察中の山之内薫NP

 私の場合はNPの認定を受けていませんので、米国人医師の方の通訳としてではありますが、NPのカリキュラムで受けた教育を生かし、問診やフィジカルアセスメントを行い、ある程度確定診断に持ち込めそうになった段階で、医師に英語でプレゼンテーションを行い、判断を仰いだ上で診断と処方を行う形をとりました。今回NP、PAとして活躍されたお2人も、診察後には必ず医師の方と情報を共有し、治療方針を確認していました。

 特殊な状況下とは言え、NPやPAといったMid-level medical practitionersが日本で活動できたことの意義は非常に大きいと感じています。私は4月16日に帰国する予定ですが、それまでに日本の学会などを通じてできるだけ多くの医療従事者の方に正確な報告をしていくつもりです。

 4月11日(月)には、東京医科歯科大学看護システムマネジメント学分野の深堀準教授の計らいにより、2回の被災地での活動についてお話させていただくことになりました。詳しくはこちら(http://psilocybe.co.jp/2011/0411/)をご覧ください。

 そして、このような貴重な機会を私たちにくださり、アメリカからの派遣と現地調整を震災直後から現在に至るまでなさっている徳洲会専務理事の鈴木隆夫先生と、ボストンのBrigham and Women's Hospitalの鈴木ありさ先生に深く御礼申し上げたいと思います。

【訂正】
4/7に以下の点を訂正しました。
・4ページ目の編集部注で、2カ所に「外国人医師と外国人救急救命士」という表現がありましたが、「外国人医師」に訂正しました。

4/11に以下を訂正しました。
1ページ目、下から3段落目に「米オクラホマから現地入りした」とありましたが、「米アラバマから現地入りした」に訂正しました。

【編集部からのお願い 被災地の状況をお知らせください】
 日経メディカル オンライン(NMO)では、東北地方太平洋沖地震の被災地で奮闘している医療従事者の方々からの情報発信、および被災地で役立つ医療・保健情報の収集に努めています。これらを、被災地の医療現場に還元することで、及ばずながらも被災者を支援していきたいと考えています。

 被災地で尽力されている医療関係者で、現地の状況についてお伝えいただける方、また、被災地での医療対応に役立つ情報ソースをご存知の方は、ぜひ下記まで情報をお寄せください。その際には、もし可能であれば、勤務先の医療機関名や専門科目、掲載の可否(内容やご氏名など)についてもご記載いただけますと幸いです。

 大変な時ですので、ご無理のない範囲でご協力ください。どうぞよろしくお願いいたします。

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