このように医療ニーズは日々変わっています。小児科医は足りているという場所があれば、まったく足りていない場所だってある。報道されている情報は間違いではありませんが、報道されているのは、起こっていることのほんの一部。どこでも同じということはあり得ないので、現場を細かい網目で区切るようにして見て回り、そこにある医療ニーズをきめ細かく拾い上げる必要があるのだと思います。

 インフラ面ではまだ、不安が残っています。上下水道はまだ使えないところが多いようです。水がないので十分な手洗いができず、トイレの後や食事の前は、速乾性手指消毒剤で洗っていました。おむつかぶれの乳児や、感染症様の腸炎で下痢症状を訴えるお年寄りなどの患者も増えてきたと聞きました。

 物資の不足もまだ続いています。ガソリン不足か原発を恐れてのことなのかは分かりませんが、常磐道でいわき市まで向かう途中、水戸から先ではほとんど車を見かけませんでした。

避難所で放射線に関する勉強会
 原発については、私たち以上に被災地の方々は大きな不安にかられています。このため、日本医師会の主催により、3月20日にいわき市内の避難所で、長崎大医歯薬学総合研究科長の山下俊一氏と医歯薬学総合研究科教授の高村昇氏による放射線の健康リスクに関する勉強会を開きました。300人近い方が参加されたと思います。

 30分ほどの説明の後、7、8人から、生活の中での被曝への不安などについて質問があり、すべてに答えていただきました。被災者に向けたこうした専門家からのメッセージの発信は、今後も必要になっていくでしょう。

 私たち医師がいわき市のような避難地域や屋内退避地域の近くにある避難所に行くことも、被災者の方の精神的な支えになるのではないかと思っています。「医者が医学的根拠に基づいて診療支援に来てくれているのだから、ここは大丈夫なんだ」と。我々医師の行動が、復興の呼び水になればうれしいです

【編集部からのお願い 被災地の状況をお知らせください】
 日経メディカル オンライン(NMO)では、東北地方太平洋沖地震の被災地で奮闘している医療従事者の方々からの情報発信、および被災地で役立つ医療・保健情報の収集に努めています。これらを、被災地の医療現場に還元することで、及ばずながらも被災者を支援していきたいと考えています。

 被災地で尽力されている医療関係者で、現地の状況についてお伝えいただける方、また、被災地での医療対応に役立つ情報ソースをご存知の方は、ぜひ下記まで情報をお寄せください。その際には、もし可能であれば、勤務先の医療機関名や専門科目、掲載の可否(内容やご氏名など)についてもご記載いただけますと幸いです。

 大変な時ですので、ご無理のない範囲でご協力ください。どうぞよろしくお願いいたします。

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