3月11日の東日本巨大地震の発生時、八戸市民病院救命救急センターで勤務に当たっていた今明秀氏。同センターはドクターヘリやドクターカーが配備され、災害派遣医療チーム(DMAT)として稼働できる部署。地震発生以降、どのような状況に直面したのか、今氏の許可を得て掲載する。

 八戸市民病院救命救急センターのスタッフブログ「青森県ドクターヘリ スタッフブログ」http://doctorheli.blog97.fc2.com/



●【東北関東大震災 その1】一酸化炭素中毒 2011年03月12日 23:40

大地震がおきました。
八戸市立市民病院救命救急センターでは、
1)岩手県へ緊急DMAT出動
2)ドクターヘリ県内搬送
3)ドクターカー八戸市内出動
4)救急医全員集合で救急患者対応
5)入院患者の地震への緊急対応
6)入院患者の搬出作業開始
7)DMAT、他地域との通信確保
これらについては、後日。

発災の夜から数時間して日没。願いもむなしく、雪がふりはじめました。
どうして、ここ一週間は晴れていたのに。

町は、停電です。
太平洋にぽっかり浮かぶ、深海掘削船の「ちきゅう号」のマストに輝く電飾だけが、八戸市内で唯一の明かりでした。
オール電化、電気スイッチがある石油ストーブ、エアコン。どれも停電で、暖房が止まります。
気温が下がります。
寒い夜、余震の夜、津波の音、消防のサイレン。懐中電灯の小さな明かり。
海岸の家は、大被害。なくなった家も多数。
低い場所の家は泥が入りました。
車が転がっています。
船が建物に衝突。
流された人もいます。
行方不明も。

高台で、津波被害を免れた家では家族が不安な夜を過ごします。
避難所には、多くの市民がいます。
家ですごす人もいます。
寒い夜には、暖房が必要です。
古い石油ストーブを物置から出してきた人がいました。
反射式石油ストーブといって、木造の隙間がある、自然換気ができる日本で昔よく使われた形。
煙突なし、電気不要。
煙は、部屋に流れ、部屋の隙間から外へ出る。
一酸化炭素も同じ。
しかし、問題あり。
機密性の高い住居では、排気ができない。
一酸化炭素がたまる。
昔のストーブは、昔の家ならOK。
昔のストーブを、いまの機密性の高い家では危険。

発災14時46分。
その8時間後です。
まず、一家族3人が頭痛、吐き気、不快感を訴え、ぐったりして救急車で運ばれてきました。
八戸では意識障害の鑑別診断に必ず一酸化炭素中毒を入れます。
やはり一酸化炭素濃度が高い!
高気圧酸素療法を開始しました。

午前3時に、もうひと家族。

翌日朝、ある家族の父親が、死亡で発見されました。
他の家族は、頭痛、吐き気があります。
一酸化炭素中毒でした。

病院の酸素の在庫が少ないことが発表されました。
酸素タンクの補充が予定通りいきません。
高気圧酸素療法はできません。
酸素吸入で症状が改善しました。

2日目の夜さらに1名。

危険です。
閉め切った部屋で、古い石油ストーブ。

一酸化炭素中毒の最初の症状は、頭痛です。

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