宮城県医師会会長の嘉数研二氏

地域医療再生のモデルとなれるか
 医療人材の確保については、以前から県が実施しているドクターバンク事業の継続に加え、東北大学、県医師会、医療機関、宮城県の4者で構成する宮城県医師育成機構で、「循環的医師配置」の仕組みを構築する予定だ。

 地域医療に従事しながらのキャリア形成を支援するため、医師育成機構が臨床研修体制の整備やモデル的なキャリアアッププランの作成を進める。その上で、震災で甚大な被害を受けた医療機関や地域の中核病院などに、医師育成機構が主体となって、医師をバランス良く配置していく。

 医師確保に関しては、県に先行する形で、東北大学が2012年10月から支援をスタートさせている。大学病院などの医師でチームを作り、チームメンバーが交替で、1年にわたって沿岸被災地の同一の医療機関をサポートする。チームは3人一組で、一人が4カ月現地に赴任。東北大学では、この支援のノウハウなどを機構に伝えていく考えだ。

 東北大とともに育成機構に協力する県の医師会も、今回の2次医療圏の見直しを含む地域医療の再生プランに大きな期待を寄せる。「震災を体験した我々だからこそ、他の地域に先がけるモデルを構築したい」。県医師会会長の嘉数研二氏は、こう力を込める。

 被災地で抱える様々な問題は、全国の過疎地が直面する課題との共通点も多い。2次医療圏の統廃合により、過疎地での医師不足は改善するのか、地域に必要な医療機能は本当に保たれるのか、高次医療へのアクセスで深刻な問題は生じないのか、地域社会・経済への影響は─。

 宮城の取り組みが、地域医療再生の試金石としても全国的に注目されるのは間違いない。一方で、復旧途上にある地元の強い懸念も十分に理解できる。大きなリスクを負った挑戦が、今始まろうとしている。