東日本大震災の発生から2年が経過した。被災地には震災の爪痕がいまだに深く残る。そんな中、宮城県では大胆な医療提供体制の再編に踏みきった。相次ぐ反発を振り切り、4月から新体制へ移行する。同県が抱える医療の課題は、他の地域にも広く共通する。新たな挑戦に臨む宮城の今を追った。


南三陸町の旧防災対策庁舎付近(2013年2月15日撮影)

 「県がこんな再編案を持ち出したこと自体がナンセンス。地域医療の低下への不安が高まれば、過疎化がますます進む」。2月14日に宮城県庁で開かれた県の医療審議会で、佐藤勇・栗原市長は、県の対応を強い口調でこう批判した。

 この日の議題は、4月から実施予定の宮城県第6次地域医療計画(2013〜17年度)。県が示した同計画最終案の骨子は、2次医療圏の統合を進めた上で、圏域ごとに医療提供体制を再編する内容だった。

 宮城県内の現在の2次医療圏は、仙南(白石市、角田市など)、仙台(仙台市、塩釜市、岩沼市など)、大崎(大崎市など)、栗原(栗原市)、登米(登米市)、石巻(石巻市、東松島市、女川町)、気仙沼(気仙沼市、南三陸町など)の7カ所。県の案では、このうち仙南、仙台の2医療圏は現状のままとする一方、東日本大震災で甚大な被害を受けた沿岸部を含む県北の5医療圏は、「登米・石巻・気仙沼」、「大崎・栗原」の組み合わせで合併することとした(図1)。登米、気仙沼が石巻に、栗原は大崎に事実上吸収される形での再編で、両医療圏の基幹病院は、石巻赤十字病院と大崎市民病院になる。

図1◎宮城県の2次医療圏の再編
注)第4次医療計画までは10医療圏だった
(*クリックすると拡大表示されます)

関係自治体から強い反発
 県の再編案が昨年秋に示されると、関係自治体からは反発が相次いだ。気仙沼、栗原両市は、(1)患者の利便性の悪化を招く、(2)被災地の医療整備を優先すべき、(3)医療過疎に拍車をかける─として現状維持を要望。登米市は「単独の2次医療圏としての存続は困難」との立場ながらも、「登米市民病院の機能の維持、強化」を求めた。

 地元の危機意識を重く受け止めた県市長会は昨年末、再編案を協議する県医療審議会に関係自治体の代表者を参加させることを求める要望書を県知事に提出。これを受け、審議会で初めて設けられた自治体代表者の意見陳述の場が、冒頭の2月14日の会合だった。

 再編案を最終協議する局面でもあった同日の会合では、菅原茂・気仙沼市長も明確に反対を表明。気仙沼市から石巻赤十字病院に通うには車で2時間ほどかかる。JR気仙沼線は復旧しておらず、石巻と気仙沼を結ぶ三陸自動車道の延伸工事の完了時期は未定で、供用開始は早くて5年後といわれる。それらの事情から、菅原市長は「石巻との連携は現実的ではない」と訴えた。

 だが、審議会で再編案が覆ることはなかった。結局、答申の際に、「再編後も地域の中核病院の持続的支援に取り組む」とする付帯意見を加えることで決着。その後、審議会は2月22日、県知事宛てに答申書を提出した。