同市は見直し策の一つとして、市立総合病院と市立小高病院を再編し、市立総合病院の急性期機能などを高める案を示した。しかし、小高地区の住民の反対などから、いまだに結論は出ていない。市立病院同士の再編でもなかなか進まない中、今後、民間病院も含めての再編を検討するとなると、それ以上の困難が伴うと予想される。

 今後、冬休みや新学期など、南相馬市の人口増が幾分期待される時期を迎える。それを過ぎれば、今後の方向性が見えてくる可能性はある。それまでは今の縮小体制を維持していくしかなさそうだ。

南相馬市医師会長・原町中央産婦人科医院理事長の高橋亨平氏に聞く
「政府や県は足を引っ張るばかりだ」
 私は3月11日の東日本大震災の発生以降、18日まで診療を続けていったん避難した。だが、ほとんどの診療所や病院が休止した中、残された被災者を誰が診るのかと考えると居ても立ってもいられず、22日に自院に戻って診療を再開した。
 有床診療所の当院では、震災前に約20人いた看護職員や事務職員が約10人に減った。以降、新規職員は1人も確保できていない。看護職員が足りず、帝王切開手術も満足にできない状態だ。他の診療所や病院も同様の状況に置かれている。
 人口が激減し、その分、患者数が震災前より大幅に減っているのも痛手だ。特に若い世代が他県に移り住んでしまったケースが多く見られる。市内に5カ所ある産婦人科で診療を再開しているのは、今でも当院だけ。2カ所ある小児科に至っては、患者の来院が見込めないなどの理由からいまだに休止状態にある。
 地域全体を見ると、市内に40カ所弱ある医療機関のうち現在診療を再開できているのは二十数カ所にとどまる。再開しているところも、人手と患者の不足により大半が病床や診療時間を制限している。
 こうした状況を招いた一因には、政府や県の対応のまずさがあると感じている。政府は原発事故を受けて3、4月に、警戒区域や緊急時避難準備区域などを指定した。ただ、それらは基本的に福島第1原発を中心とした同心円状に機械的に線を引いただけ。実際には、指定区域外の地域でも南相馬市より放射線量が高い地域もあった。
 政府は放射線量をきめ細かく測る手段を普段から準備しておらず、放射線量の開示も不十分だった。南相馬市は安易にこうした区域に指定されたことで、大量の人口流出に見舞われただけでなく、9月30日に緊急時避難準備区域が解除された後も人口が回復しない事態に陥った。
 政府と県が4月に決めた「各病院5床まで、入院期間72時間以内」という入院規制も不可解だった。この措置は6月まで続いたが、その間に、入院規制があって救急患者を受け入れられず、1時間半ほどかけて福島市などに搬送せざるを得なくなった例も多くあった。
 今後、南相馬市が元に戻るのはかなり難しい。廃院する病医院が出てきてもおかしくないだろう。(談)