ただ、「使いやすさが時には問題になる」と石井氏は言う。モニタリングをしていないと、万一、薬が効きすぎて出血しても即座に対応しにくい。半減期が長い分、薬の効果も持続する。

 冨士氏も、「そもそも2剤は、モニタリングの指標がない。さらに、過量投与してしまった場合、未分画ヘパリンは硫酸プロタミンで中和できるが、エノキサパリンでは最大で60%しか中和できない上、フォンダパリヌクスには中和剤がない。こうした特徴を理解して処方すべきだ」と語る。

 冨士氏が処方時に留意する点は、患者の体重や状態などを考慮して柔軟に対応すること。例えば、フォンダパリヌクスには1.5mgと2.5mgの製品規格があるが、体重60kg未満の患者には1.5mgを、それ以上なら2.5mgを処方しているという。

 一方、エノキサパリンは1日2回投与を、1回に減らすことが可能だ。「転倒して脳内出血を起こすリスクが高い高齢者などは1日1回投与を検討したい」と冨士氏は話す。また、心疾患などがあり厳格な管理が必要な患者の場合、細かくモニタリングできる未分画ヘパリンの使用を勧める。

 2剤とも投与法の確立はこれからだが、抗凝固療法の選択肢が増えたのは確か。今後は整形外科領域以外にも適応が広がっていくはずだ。



新しい抗凝固薬の詳細は、『日経メディカル』最新号(2008年5月10日発行)をお読みください。

【訂正】
5/22に以下を訂正しました。
1ページ目の「各種の抗凝固薬の比較」表中で、エノキサパリンの抗Xa:抗トロンビン活性比を「1.4:1」としたのは誤りでした。正しい値である「4.88:1」に訂正いたしました。