米シカゴでこのほど開催された米国高血圧学会(ASH2007)では、新クラスの降圧薬とされる直接的レニン阻害薬に参加者の注目が集まった。米国で今年3月に承認、発売(欧州では2006年9月)された初の経口レニン阻害薬アリスキレン(米国での商品名:Tekturna)にフォーカスしたサテライトセッションには、学会初日の午前6時半からというプログラムにもかかわらず、数百人が詰めかけてほぼ満席となり、10数年ぶりとされる新クラスの降圧薬への関心と期待の高さをうかがわせた。

 このセッションでは、主として臨床試験成績を中心に討論が進められ、アリスキレンが単剤として、現在の降圧薬の主流である利尿薬、カルシウム拮抗薬(CCB)、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)などと比べて、単剤で遜色ない降圧効果を発揮すること、これら既存の降圧薬との併用治療で、さらに大きな降圧が実現したことなどが報告された。

 アリスキレンはRAS系(レニン-アンジオテンシン系)の上流で血圧上昇プロセスの入口に当たる酵素であるレニンを直接阻害する。レニン阻害薬の研究は早くから進められてきたが、アリスキレンは非ペプチド化を実現、経口投与を初めて可能にした。血中半減期は約40時間と長く、1日1回投与で済むという。

写真1 Alan Gradman氏

 テンプル大学医学校(米ペンシルバニア州ピッツバーグ)教授でWestern Pennsylvania病院循環器部門長のAlan Gradman氏(写真1)は、2006年秋の国際心臓病学会(WCC2006)や2005年に同氏らが報告した臨床試験の研究成果を基に解説した。

 同氏はまず、軽・中等度の本態性高血圧患者652人を、アリスキレン(150mg、300mg、600mg)とARBのイルベサルタン(150mg)、プラセボに割り付け、8週間の治療効果について調べた多施設の無作為化二重盲検試験(Circulation 2005;111:1012)を紹介した。

 この試験で、ベースラインと8週目との拡張期血圧を比較すると、プラセボでは平均6.3mmHgの低下だったのに対し、アリスキレンでは150mgで9.3mmHg、300mgで11.8mmHg、600mgで11.5mmHgと、プラセボに対して有意に低い血圧値だった。イルベサルタン(150mg)は同様に8.9mmHgの低下で、プラセボに対しては有意に低かったが、アリスキレン300mg、同600mgはイルベサルタン群よりも有意に低かった。収縮期血圧でも同様な傾向だった。

 Gradman氏は、さらに日本人455人を対象とした試験を含む7件の多施設無作為化二重盲検試験のプール解析の結果を報告、前述の報告と同様、プラセボ群に対してアリスキレン群(75mg、150mg、300mg、600mg)では、拡張期血圧、収縮期血圧とも、すべて有意に低い血圧値を実現していることを示した。