震災から5週間が過ぎました。以前報告したときから、避難所や医療を巡る状況は刻々と変化してきました(植田氏の前回のリポートはこちら)。中でも、市街地でありながら電気、水道などが未だに復旧できていない地域があり、そこの風景はほとんど変わっていません。余震による追い打ちで、倒壊した建造物が増えたくらいです。沿岸部の地盤沈下により、満潮になると水没する地域があり、水の中を移動している住民の姿は、まるで被災直後のようです。このような状況で、避難所生活は長期化することが確定的になっています。

 先週末、石巻赤十字病院のDVTエコー検診チームと、東北福祉大学リハビリテーション学科の佐藤教授チーム、宮城県理学療法士協会が合同して、避難所と周辺住民(1階は水没したが2階は辛うじて生活できる住宅に居住する被災者)約900名を対象に、要介護度の調査を行いました。調査の結果、3%近い被災者が介護を要することが分かりました。石巻市内の他の地域での小規模な調査でも、同様の数値が出ています。この中には、震災前後で自立から要介護に変わった方もいます。原因は身体を動かす意欲がない、床から起き上がるのが困難なため動かせなくなった、けがや体調不良を契機に筋力低下を来たした、などのようです。

 現在、石巻市の避難所は142カ所あり、そこに約17000名の避難者がいます。そのうちの3%が要介護者であるとすると、その人数は約500名です。これだけの人数の介護をするには、介護ニーズがある避難者の集約や、施設の確保、介護スタッフの確保など、多くの課題に介入していかねばならないと合同救護チームでは考えています。

 高齢者に対する健康被害を防ぐ手段として、被災地外への一時移住などが提案されており、南三陸町では既に県内の栗原市への一部移住を開始しています。石巻市では避難所住民に対し、今月初めに意識調査を行いましたが、68%が移転に対し「興味がない」と回答しました(回答世帯数4186世帯、避難者数にして12338人)。

 これ以降、域外移転に対して石巻市が積極的に動いているという話は聞きません。移転することで生活の立ち上げになんら不都合は生じないと説明することや、移転先と石巻市間の定期的な移動手段を確保することなどで、被災者が安心できるよう工夫すればいいのにという思いはありますが、市役所からこれに関する方針は示されていません。

 現時点でも、誤嚥性肺炎を繰り返す寝たきり高齢者が、多数病院に運ばれています。今後も避難所生活が長期化し、要介護者への適切な介入がなければ、循環器疾患、呼吸器疾患、脳血管障害、深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症などの発症が増加することが予想されます。