東京都立墨東病院膠原病・リウマチ内科に勤務している越智といいます。被災者の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。膠原病は比較的まれな疾患ですが、関節リウマチは全人口の1%と言われており、被災地にも少なからず患者様がいらっしゃると考え、これを書かせていただいております。

 日本リウマチ学会の公式発表としましては、3月13日付でホームページに、膠原病患者様宛に治療薬に対する注意点が掲示されています(http://www.ryumachi-jp.com/info/news110314.html)。しかし、このページが一般の患者さん及び現地の医師の目に留まりにくいこと、実際の現場での対処についてあまり書かれていないことから、多少の私見を交えて書かせていただきます。病態・鑑別が複雑であり、マニュアルとして画一化は出来ないのですが、参考にしていただければと存じます。

 被災地にいらっしゃる膠原病患者さんで心配しなくてはいけない点は以下の3点で、この順に緊急性が高くなります。

1.ステロイド離脱症状 ステロイドは飲み止めない。
2.日和見感染症 病院へかかれない時には、免疫抑制剤と生物学的製剤は中止を。
3.内服出来ないことによる膠原病の再燃 肺・腎臓・脳の合併症の方は転院も考慮。

 以下、詳しく述べさせていただきます。

1.ステロイド離脱症状
患者さんの注意点
・ステロイド剤(プレドニン、リンデロン、メドロールなど)の内服は絶対にやめないこと。離脱症状が起こり、急激に下痢・脱水・高熱・低血糖が起こります。

・どうしてもステロイドが手に入らない状況にある方の場合⇒半分量、あるいは1日おきにして飲みつないでいただくしかないかもしれません。

医師の注意点
・膠原病の患者さんに上記の症状を認めた場合には、必ず普段のステロイドの内服の有無と、ここ最近きちんと飲めていたかどうかを聞いて下さい。感染と思って抗生剤治療をしている間に、どんどん悪くなる方もいらっしゃいます。

・離脱を疑った場合には水溶性ハイドロコートン注射液100mgのi.v.を実施後に、補充療法を始めて下さい。

・点滴のステロイドで補充する場合には1.2倍量を1日1回投与すれば同等の力価になります。(5mg内服であれば6mg点滴)

2.日和見感染症
患者さんの注意点
・しばらく医療機関を受けられない可能性の高い患者さんは、免疫抑制剤(プログラフ・リウマトレックス・メトレート・アラバ・エンドキサン)の内服や、生物学的製剤(ヒュミラ・エンブレル)の自己注射は中止しておいて下さい。お薬の効果は短くても2週間以上続きますので、再燃より感染の方が危険です。

・ステロイドや免疫抑制剤を内服されている患者さんは、免疫力が落ちているため熱や痰が出にくい状態です。また、日和見感染であるニューモシスチス肺炎やウイルス性肺炎は元々痰が出にくく、空咳のみのこともあります。

・ステロイド・免疫抑制剤・生物製剤(レミケード・エンブレル・ヒュミラ・アクテムラ)を使用している患者さんで、空咳が続く場合には遠慮せず医療機関を受診して下さい。