(1)は、線源がどのような放射線を含んでいるかによって、体表のみの被曝で済む場合と、深部の臓器に影響が現れる場合がある。例えばβ線への曝露であれば組織内での放射線の到達距離は短いため、エネルギーレベルによって差はあるものの、皮膚が主な曝露部位となる。一方、高エネルギーのγ線は深部まで到達しうる。

 過去の原子炉事故では、原発作業員と事故発生後に駆けつけた救急隊員のみが全身性または部分的な曝露の被害にあった。

 (1)の場合、曝露があっても汚染がない患者は放射線を発しないため、介護に当たった人が曝露する危険性はない。

 (2)の外部汚染は、放射性物質が人に付着した状態を示し、放置すれば皮膚または体内の臓器が曝露される。事故現場の周辺に住む人々については、屋内退避が外部汚染のリスクを最小限に留めるために役立つ可能性がある。

 (3)の内部汚染は、放射性物質を摂取または吸入した場合と、開放創を通じて放射性物質が体内に入った場合をいう。原子炉事故では、内部汚染が、原発周辺の多くの人々の放射線曝露の主なルートとなる。チェルノブイリ事故では約500万人が内部汚染の被害にあったと推定されている。

 原子炉事故によって環境に放出される放射性同位元素は様々で、半減期はそれぞれ大きく異なり、中には内部汚染または外部汚染を引き起こさないものもある。それらの中で健康被害を引き起こす危険性が高いのはヨウ素131だ。汚染された野菜や果物、牛乳、飲料水などを通じて摂取、または吸入されると速やかに甲状腺に集まり、そこにとどまってβ線を放出する。

 福島第一原発の事故により海に流れ込んだ放射性物質を含む水は、上記に加えて海産物を介した内部汚染が発生する可能性をもたらした。原発に近い場所の海水の放射活性は一過性に上昇するが拡散は早く、海産物に取り込まれるか否かにかかわらず半減期通りに放射活性は低下すると予想されている。

■放射線の種類と線量率
 放射線曝露はまずDNA損傷を引き起こすが、その後、損傷が完全に修復される場合、修復が完全でなくても有害にならない場合、機能不全や癌化、細胞死を引き起こす場合がある。臨床的には、放射線曝露の種類(上記の1〜3)、曝露された組織の放射線感受性、放射線の種類(β線かγ線かなど)、体内での放射線の到達距離、器官や臓器の吸収線量、吸収線量率(単位時間当たりの放射線の吸収量)などによって影響の程度が変化する。

 放射線の単位には、対象物に吸収される放射線の量を示すグレイと、人体が放射線を受けた時に現れる影響の度合いを放射線の種類や臓器の放射線感受性で補正して推定した吸収線量を示すシーベルト(全身についての値が実効線量、各臓器についての値は等価線量と呼ぶ)が用いられる。1グレイのγ線が全身に均等に吸収された場合の実効線量は1シーベルトになる。

 スリーマイル島の事故では、原発から10マイル(16km)以内の居住者が曝露した実効線量は0.01ミリシーベルトだった。一方、チェルノブイリでは、1986〜2005年に低汚染地域に住んでいた人々の実効線量は10〜20ミリシーベルト、1986〜2005年に高汚染地域に住んでいた人々では50ミリシーベルト超、1986〜1987年に原子炉の清掃作業に従事した人々では100ミリシーベルト超になったと推定されている。