地震前後で循環器系救急疾患の来院患者や入院患者の動向を調べたところ、心不全入院患者が4.9倍に増加していた。国立病院機構熊本医療センター循環器内科の宮尾雄治氏らの検討で明らかになったもので、「震災により多くの増加する疾患が報告され注意喚起がなされているが、循環器系疾患では震災後急性期から亜急性期にかけて心不全の発症に注意する必要がある」と指摘している。

 熊本医療センター(院長:河野文夫氏)は、災害拠点病院として地震発生直後から一次から三次の救急患者対応を行った。宮尾氏らは、震災発生前後での循環器系救急疾患来院、入院患者の動向と特徴を検討。4月15日以降を震災後とし、4月13日以前の震災前4週間および前年同期間を対象に、電子カルテのデータを用いて後ろ向きに比較検討した。

 その結果、震災前4週間と震災後2週間で循環器系疾患別に入院患者の動向を見たところ、急性心筋梗塞+不安定狭心症は震災前が4.0人/週、震災後が2.0人/週、深部静脈血栓・肺塞栓症は震災前が0.5人/週、震災後が1.0人/週)と、それぞれ変化は少なかった。しかし、心不全入院患者は震災後が11.0人/週と、震災前の2.25人/週に比べて4.9倍に増加していた。

 心不全入院が増えた要因としては、(1)精神的・肉体的ストレスの増加、(2)交感神経の活性化、(3)血圧上昇、(4)睡眠障害、(5)感染(特に肺炎)、(6)塩分摂取増加・塩分感受性の亢進、(7)内服薬不足・アドヒアランスの低下などが考えられるという。

 なお、詳細な検討結果については、11月に開催される国立病院総合医学会で発表する予定だ。