建物の安全性が確認できないことから、外来や入院、救急の全ての診療継続が困難となっていた熊本市民病院(東区湖東)では、建物設備の被害が1981年の耐震基準を満たさない病棟に集中していることが分かった。被害の大きかった病棟は建て替え工事の計画が進んでおり、昨年4月に着手予定だった。しかし、事業費高騰を理由に工事は凍結されていた。凍結期間中に耐震改修の計画が議論されたのかどうかは不明だが、全国で約30%に上る耐震化の進んでいない病院は、建て替えが困難であることを理由に実現可能な耐震改修を先送りしている可能性もあり、改めて計画を見直す必要がある。

 市民病院によると、今回の地震で入院患者や病院職員らの人的被害はなかった。16日未明の本震によって、1階ロビーの天井や外壁の一部が破損。病棟内も、天井がはがれ落ちたり、壁面が崩れ落ちたりした。配水管も損傷を受け、一部で漏水が発生した。特に2階部分にある中央検査部では、機器類の損壊が激しく、多くの窓ガラスが割れた(写真1、2)。こうした被害は、建て替え工事の対象だった南病棟や北病棟に集中していた。

写真1 熊本市民病院(一番右が新館、真ん中が南病棟、左奥に見えるのが北病棟。4月27日撮影)

写真2 南病棟の2階部分。検査部門の窓ガラスの多くが割れた(4月27日撮影。南病棟、北病棟は立ち入り禁止の措置が取られていた)

 同病院は建物設備の安全確認がとれないとして、本震のあった4月16日に入院患者310人を避難させた。県内外の病院に救急車やヘリコプターなどで搬送。16日には転院あるいは退院を完了している。

 本震以降は病院玄関前で、内服の継続が必要な患者の処方に対応した(写真3)。4月28日からは耐震基準を満たしている新館と平屋部分で再来患者を対象とした外来診療を再開した。また、時間外や土日・祝日は、当直医が1次救急として新患にも対応する体制を整えた。

 並行して、搬送した患者の医療支援に加えて、避難所での健康・衛生管理にも取り組んでいる。4月21日までに、避難所への医療班派遣を開始したほか、感染対策斑、深部静脈血栓症対策班、歯科口腔指導班、小児医療班、産科医療班、看護班などが、それぞれ巡回を行っている。巡回は、指定避難所以外も対象としている。このほか、市民病院の玄関前では、母と子の相談コーナーを開設。9時から16時まで助産師が相談に応じている。

写真3 病院玄関前で内服継続が必要な患者の処方に対応(4月27日撮影。翌日からは院内での対応に)