厚生労働省の発表によれば、災害派遣精神医療チームDPAT)は、4月17日時点で、13隊が活動中。さらに、1隊が移動中、全国で10隊が準備中。病院のライフラインの途絶などのため、益城病院(熊本県益城町)、希望ヶ丘病院(熊本県御船町)において転院などが必要となった入院患者の転院支援は、熊本県精神科病院協会と連携し17日12時時点で完了している。その他4病院(対象患者数は約430人)からの転院依頼を受け、患者搬送について調整中。順次転院などを実施中。転院の支援と並行し、避難所などで被災者の心のケアに当たっていく予定としている(関連記事「DMATは157隊、DPATは13隊が活動中」)。

 日本精神科救急学会理事長の平田豊明氏(千葉県精神科医療センター病院長)は、日経メディカルの取材に対し「DPAT先遣隊は、発災翌日の15日に2チーム(岡山県、佐賀県)がDMATとともに現地(熊本赤十字病院)に入り、被災した精神科病院などの支援活動を行っている。発災72時間以内に全国から14チームが活動を開始し、さらに2チームが現地に向かっている」と回答した。

 「これまでの大規模災害では、メンタルケアチームが現地入りするのは、発災からおおむね1週間以降で、その後数週間から数カ月にわたって活動するというパターン、つまりlate start-long reliefが通例だった。その時期、精神科専門スタッフが介入を要する急性精神疾患の発生頻度はそれほど高くはない。そのため、現地入りしてもニーズを探すのに苦労することが多かった経験がある。一方で、被災した精神科病院の情報には乏しく、実は数日間食料も水もなく孤立していた病院があった、ということが分かることもあった。このような事態を解消するため、1年ほど前から早期介入を目指したDPATが各地に編成され、全体を調整する本部も都内に設置された。発災72時間以内に現地に入り、被災した精神科病院の支援に当たりながら被災者の精神科救急ニードに応じる。そして、1〜2週間で後続のメンタルケアチームに引き継ぐ。いわばearly start-short reliefの支援を目指した」(平田氏)。

 具体的には今回、現地の精神科病院協会などの情報に基づき、被災した精神科病院7カ所に被災翌日からDPATが入った。入院患者の県外も含む転院を支援しつつ、避難所から発生した急性精神疾患4件の対応も行ったとのこと。平田氏は、「今後は、避難所の救護班や地域巡回チームからの診療要請に対応しながら、現地の精神科が回復するのを待つこととなる。当センターもあと何チームか派遣する予定だ」と語った。